尿路結石症の発生原因に対する内分泌学的検討 第1報 cyclic AMP の基礎的検討
尿路結石症の成因を調べる上に, 結石症の大半がカルシウム (以下Caと略す) を主成分とすることから, Ca代謝を把握する目的で, Ca代謝と深い関係がある副甲状腺ホルモンの媒介物質と考えられている cyclic AMPの基礎的検討をした. 今回測定に使用したYAMASA kit と従来からの Hoechst kit との間には良い相関がみられた. 但, 前者は超微量 (fmole/tube) まで測定可能であつた. 回収率は血漿および尿において共に良く, 再現性も同時および日差再現性の変動係数も各々3.4~9.1%, 1.8~9.6%と満足すべき結果であつた. cyclic AMPの尿中排泄...
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| Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 71; no. 6; pp. 614 - 625 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1980
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
| DOI | 10.5980/jpnjurol1928.71.6_614 |
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| Summary: | 尿路結石症の成因を調べる上に, 結石症の大半がカルシウム (以下Caと略す) を主成分とすることから, Ca代謝を把握する目的で, Ca代謝と深い関係がある副甲状腺ホルモンの媒介物質と考えられている cyclic AMPの基礎的検討をした. 今回測定に使用したYAMASA kit と従来からの Hoechst kit との間には良い相関がみられた. 但, 前者は超微量 (fmole/tube) まで測定可能であつた. 回収率は血漿および尿において共に良く, 再現性も同時および日差再現性の変動係数も各々3.4~9.1%, 1.8~9.6%と満足すべき結果であつた. cyclic AMPの尿中排泄量は3.10±1.83μmole/g, Cr (平均±S.D.), 3.01±2.01μmole/day, 1.98±1.43μmole/g, Cr/m2体表面積で性差はなかつた. 日内変動はμmole/g, Crで表現した時はほぼ一定で, 一方単位尿量当りでは早期は高濃度で, 昼間は低濃度と日内変動がみられた. 日差変動は一部症例を除き, 大半の症例で一定であつた. 年齢差は20歳から70歳までは有意差はなく, 幼児では高値で70歳以上では低値であつた. 採血時にはEDTAの添加が必要であつたが, 採尿にはヒビテン水, トルエン, EDTAの添加剤を加えても, 無添加の時と差異はなく, 血尿・蛋白尿・細菌尿・膿尿と正常尿の値にも有意差はなかつた. 採尿後凍結, 冷蔵, 室温の3様にて48時間まで保存したが, これらの間に差異はなく, 数ヵ月間の凍結保存でも失活することなかつたが, それ以降は失活する傾向がみられた. 食事の影響は無視できる範囲であつた. |
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| ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
| DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.71.6_614 |