膀胱腫瘍の臨床統計的観察 第1報 1,120例の生存率

1960年から1982年までに東京医科歯科大学および関係病院の泌尿器科において初回治療をうけた膀胱腫瘍患者1,120例を集めて生存率を算出した. 全体としての生存率は2生率73%, 3生率68%, 5生率61%, 10生率51%であった. つぎに, この生存率に影響を与えるであろう9つの因子について, 生存率との関係を求めた. 患者側因子としては, 初回治療時の年齢が高齢の場合より若年の場合が, 女性より男性の生存率が良好であった. 腫瘍側因子としては, 多発腫瘍より単発, 大きい腫瘍より小さい腫瘍, Tカテゴリーの低いもの, 病理学的 grade が高いものより低いものの生存率が良好であった...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 4; pp. 569 - 574
Main Authors 斉藤, 隆, 田利, 清信, 福井, 巌, 関根, 英明, 根岸, 壮治, 山田, 拓己, 酒井, 邦彦, 大和田, 文雄, 岡, 薫, 石渡, 大介, 横川, 正之, 鷲塚, 誠, 野呂, 彰, 河合, 恒雄, 細田, 和成, 皿田, 敏明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1985
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.76.4_569

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Summary:1960年から1982年までに東京医科歯科大学および関係病院の泌尿器科において初回治療をうけた膀胱腫瘍患者1,120例を集めて生存率を算出した. 全体としての生存率は2生率73%, 3生率68%, 5生率61%, 10生率51%であった. つぎに, この生存率に影響を与えるであろう9つの因子について, 生存率との関係を求めた. 患者側因子としては, 初回治療時の年齢が高齢の場合より若年の場合が, 女性より男性の生存率が良好であった. 腫瘍側因子としては, 多発腫瘍より単発, 大きい腫瘍より小さい腫瘍, Tカテゴリーの低いもの, 病理学的 grade が高いものより低いものの生存率が良好であった. 細胞型では移行上皮癌に比して扁平上皮癌, 腺癌はかなり不良であった. 治療方法に関してはTURの成績が最もよく, 膀胱全摘が最も不良, 膀胱部分切除などの切開手術がその中間の成績であったが, これは術式の優劣というより, 対象とした腫瘍の性質が反映されたものと考えられた. 最後に, 1960年以来23年間の治療成績を年代別に5グループに分けて比較したところ, 年を追って最近になるほど成績が向上していることがうかがえたが, これには多くの因子が関与した結果であろうと考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.76.4_569