小学生向け課題設定支援ツールの開発と評価 「図書室の改善」を題材としたデザイン思考の共感・問題定義プロセスによる学習

本研究は、従来の課題設定プロセスは課題の抽象度が高く指導難度が高い点を問題の所在とし、「図書室の改善」を題材とする小学生向け課題設定支援ツールを開発する。デザイン思考の理論を援用し、題材に対して①観察するツール、②分析するツールの2種が授業へ導入される。①②を用いた予備実践では、児童の問いが本や図書室自体に関するものから環境・心理・行動に着目したものへと変容し、問いに関する肯定的な意識が広く向上する。①のみを用いた本実践では、児童の問いが「なぜ」という形に固定化されたが、問いの着眼点の変容は確認され、理解の深まりに関する意識も向上する。2実践の比較から、小学校へデザイン思考の課題設定プロセスを...

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Published in日本創造学会論文誌 Vol. 27; pp. 1 - 20
Main Authors 杉妻, 謙, 丸山, 純司, 塩田, 真吾, 安永, 太地, 髙瀬, 和也, 城, 愛美, 有澤, 寛則, 遠藤, 慶仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本創造学会 2024
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ISSN1349-2454
2433-4588
DOI10.24578/japancreativity.27.0_1

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Summary:本研究は、従来の課題設定プロセスは課題の抽象度が高く指導難度が高い点を問題の所在とし、「図書室の改善」を題材とする小学生向け課題設定支援ツールを開発する。デザイン思考の理論を援用し、題材に対して①観察するツール、②分析するツールの2種が授業へ導入される。①②を用いた予備実践では、児童の問いが本や図書室自体に関するものから環境・心理・行動に着目したものへと変容し、問いに関する肯定的な意識が広く向上する。①のみを用いた本実践では、児童の問いが「なぜ」という形に固定化されたが、問いの着眼点の変容は確認され、理解の深まりに関する意識も向上する。2実践の比較から、小学校へデザイン思考の課題設定プロセスを応用する際は、導入期で観察による対象物への理解と問いに関する肯定的な意識の基礎を醸成する点を重視し、その後段階的に分析による他者視点の獲得や肯定的な意識の向上を取り入れていく必要性が見出される。
ISSN:1349-2454
2433-4588
DOI:10.24578/japancreativity.27.0_1