中高年女性の役割意識と生涯学習 セカンドライフのジェンダー差に着目して

セカンドライフとは,一般的に仕事中心の人生に区切りをつける定年後の男性を想定した言葉である。一方,定年制度に当てはまらない女性の場合,人生の区切りとなるものは介護や死別など家族ケアに関することが多い。本研究ではセカンドライフにおける意識調査と,家族ケア役割を終えた中高年女性が,看取りやグリーフケアに関する資格取得のための学習行動に繋がった事例調査を分析対象とした。セカンドライフで重視する価値観に男女差はあるのか,中高年が資格に惹きつけられる背景は何かを明らかにすることにより,セカンドライフにおける生きがいと社会的役割の獲得への示唆を得ることを目的とした。 意識調査から,セカンドライフで最も重視...

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Published in現代社会学研究 Vol. 38; pp. 39 - 56
Main Author 横山, 聖美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北海道社会学会 2025
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ISSN0915-1214
2186-6163
DOI10.7129/hokkaidoshakai.38.39

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Summary:セカンドライフとは,一般的に仕事中心の人生に区切りをつける定年後の男性を想定した言葉である。一方,定年制度に当てはまらない女性の場合,人生の区切りとなるものは介護や死別など家族ケアに関することが多い。本研究ではセカンドライフにおける意識調査と,家族ケア役割を終えた中高年女性が,看取りやグリーフケアに関する資格取得のための学習行動に繋がった事例調査を分析対象とした。セカンドライフで重視する価値観に男女差はあるのか,中高年が資格に惹きつけられる背景は何かを明らかにすることにより,セカンドライフにおける生きがいと社会的役割の獲得への示唆を得ることを目的とした。 意識調査から,セカンドライフで最も重視することは「健康の維持」であり男女差は無かった。差異がある項目は,男性が重視する「稼得」と女性が重視する「学び」であった。中高年女性の学びに注目し,事例調査を実施した結果,学び始めたきっかけは過去のやり残し感や後悔というネガティブな理由であったが,学び続けることにより,「社会的に認められる役割」と「一緒に学ぶ仲間」を獲得していた。仲間との交友関係を維持し学び続けること自体が「生きがい」につながっていると考えられた。
ISSN:0915-1214
2186-6163
DOI:10.7129/hokkaidoshakai.38.39