大腿骨頚部/転子部骨折術後の歩行能力 術式による術前術後の変化
【目的】 当院では大腿骨頚部骨折に対しては人工骨頭置換術(以下人工骨頭)、Dual SC Screw(以下DSCS)を施行し、大腿骨転子部骨折についての手術はTARGON PF nail(以下TG)を施行している。理学療法を実施する上での治療計画の目安とするために術式の違いによる年齢、術後在院日数、受傷前と退院時の室内移動能力(以下移動能力)の変化の程度を明らかにすることを目的とした。 【対象】 2005年1月から2011年1月までに当院で大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折に対して手術を施行した症例のうち、術後すぐに転院した症例や重篤な合併症等で入院期間が長期化した症例は除外した543肢を対...
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| Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 p. 138 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2011
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-9946 2187-123X |
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.30.0.138.0 |
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| Summary: | 【目的】 当院では大腿骨頚部骨折に対しては人工骨頭置換術(以下人工骨頭)、Dual SC Screw(以下DSCS)を施行し、大腿骨転子部骨折についての手術はTARGON PF nail(以下TG)を施行している。理学療法を実施する上での治療計画の目安とするために術式の違いによる年齢、術後在院日数、受傷前と退院時の室内移動能力(以下移動能力)の変化の程度を明らかにすることを目的とした。 【対象】 2005年1月から2011年1月までに当院で大腿骨頚部骨折、大腿骨転子部骨折に対して手術を施行した症例のうち、術後すぐに転院した症例や重篤な合併症等で入院期間が長期化した症例は除外した543肢を対象とした。術式別では、人工骨頭は190肢(男性32肢、女性158肢)、DSCSは83肢(男性17肢、女性66肢)、TGは270肢(男性45肢、女性225肢)であった。 【方法】 術式ごとに分類した年齢、術後在院日数、移動能力の変化を診療記録から後方視的に調査した。移動能力は独歩群・杖群・歩行器群・車椅子群の4群に分類し受傷前と退院時の移動能力の変化を調査した。伝い歩きは杖群に含み、押し車・介助歩行は歩行器群に含む事とした。独歩群・杖群は監視以上の自立度を条件とした。年齢、術後在院日数は一元配置分散分析によって有意差があったものに対し多重比較検定を行なった。 【結果】 平均年齢は、人工骨頭で81±9歳、DSCS は76±14歳、TG は85歳±8歳であり、3群間それぞれに有意差を認めた。平均術後在院日数については、人工骨頭は40±14日、DSCSは40±16日、TGは42±14日で有意差は認めなかった。移動能力において独歩再獲得率(受傷前の移動能力に戻った比率)は、人工骨頭で6.3%、DSCSは18.5%、TGは4.8%とDSCSで高かった。杖歩行再獲得率は、人工骨頭で50.8%、DSCSは56.5%、TGは20.5%とTGで低かった。また受傷前移動能力はTGで独歩群が少なく、杖群が多い傾向にあった。 【考察】 平均年齢に有意差が生じたのは、大腿骨転子部骨折の発症年齢が大腿骨頚部骨折と比べ高齢となるとの報告と一致しており、当院にも同じ傾向があると考えられた。DSCSで独歩再獲得率が多かったのは年齢が若いことが要因として考えられた。TGで杖再獲得率が低い事、受傷前移動能力に独歩群が少なく、杖群が多い傾向にあったのは年齢が高いことが要因として考えられた。理学療法を実施していく上で年齢は退院時の移動能力に影響を与えると考えられるため、年齢を考慮した治療計画の立案が重要と考えられる。 |
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| Bibliography: | P1-3-024 |
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.30.0.138.0 |