研究会 第25回 理論心電図研究会 第2テーマ:GTをめぐる諸問題 QT時間の体表面分布とその意義 Activation,recovery timeとの対比

我々は,1)正常例,疾患例(心筋梗塞,左室肥大)のQT時間,activation recovery interva1(ARI),recovery time(RT)の体表面分布とその意義を明らかにすること,2)冠性T波を示す心筋梗塞例で,これらの分布が陰性T波をもつ肥大心例と異なるか否かを明らかにすることを目的に正常者44名,陳旧性心筋梗塞患者84名,左室肥大例87名の体表面QT時間分布,およびRT分布,ARI分布を求めた.体表面電位図は中日電子製HPM-5100を用い体表面の87点より単極誘導心電図を記録した.得られたデータをミニコンVAX11/750へ転送し各誘導点ごとに1)QT時間,2)Q...

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Published in心臓 Vol. 23; no. 4; pp. 445 - 449
Main Authors 久保田, 功, 池田, こずえ, 安井, 昭二, 八巻, 通安, 立木, 楷, 遠藤, 太紀雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 15.04.1991
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.23.4_445

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Summary:我々は,1)正常例,疾患例(心筋梗塞,左室肥大)のQT時間,activation recovery interva1(ARI),recovery time(RT)の体表面分布とその意義を明らかにすること,2)冠性T波を示す心筋梗塞例で,これらの分布が陰性T波をもつ肥大心例と異なるか否かを明らかにすることを目的に正常者44名,陳旧性心筋梗塞患者84名,左室肥大例87名の体表面QT時間分布,およびRT分布,ARI分布を求めた.体表面電位図は中日電子製HPM-5100を用い体表面の87点より単極誘導心電図を記録した.得られたデータをミニコンVAX11/750へ転送し各誘導点ごとに1)QT時間,2)QRS波微分値が最小となる時点:activation time,3)T波微分値が最大となる時点:RTを計測した.2)と3)の差をARIとした.正常例では心筋局所の活動電位持続時間(APD),RTの差を反映する分布が,心筋梗塞例では梗塞部残存心筋の再分極の遅延を反映する分布が,心肥大では肥大心筋のAPDの延長,RTの遅延を反映する分布が,QT時間,RTそれぞれでみられた.陰性T波をもつ前壁心筋梗塞例と心肥大例を比較したところQT時間では両群の相違は明らかでなかったが,RT分布では相違がみられた.すなわち,前壁梗塞では左前胸部で遅いRTをもつ領域が短いRTに湾入するのに対し,心肥大では左前胸部全体でRTが遅延した.QT時間,RTの体表面分布は心筋局所の再分極特性を反映し,特にRTは再分極に関するより詳細な情報を与えると思われた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.4_445