腸間膜原発腫瘍との鑑別を要した空腸原発GIST (neural type)の1例

症例は78歳,男性.腹部CTにて左下腹部に径6 cm大の充実性腫瘤を指摘された.消化管透視では小腸の圧迫像を認めたが通過障害はなく,血管造影では上腸間膜動脈空腸枝を栄養血管とする腫瘍濃染像を認めた.小腸粘膜下腫瘍,腸間膜腫瘍などを考え開腹術を行った.腫瘍はTreitz靱帯から約100cmの空腸間膜内に存在したが,一部空腸を引き込んでいたため空腸部分切除を行った.摘出した腫瘍は8×7×4 cmで空腸の粘膜面には異常所見はなかった.病理組織検査では,腫瘍は空腸固有筋層と接しながら増殖し,その辺縁を空腸漿膜下層・漿膜が被覆しており発生母地は空腸壁内であった. HE染色では,好酸性紡錘形細胞の交織性増...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 10; pp. 2696 - 2700
Main Authors 三谷, 英信, 安藤, 隆史, 辻, 和宏, 池田, 宏国, 平川, 栄一郎, 斉藤, 誠
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.10.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.2696

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Summary:症例は78歳,男性.腹部CTにて左下腹部に径6 cm大の充実性腫瘤を指摘された.消化管透視では小腸の圧迫像を認めたが通過障害はなく,血管造影では上腸間膜動脈空腸枝を栄養血管とする腫瘍濃染像を認めた.小腸粘膜下腫瘍,腸間膜腫瘍などを考え開腹術を行った.腫瘍はTreitz靱帯から約100cmの空腸間膜内に存在したが,一部空腸を引き込んでいたため空腸部分切除を行った.摘出した腫瘍は8×7×4 cmで空腸の粘膜面には異常所見はなかった.病理組織検査では,腫瘍は空腸固有筋層と接しながら増殖し,その辺縁を空腸漿膜下層・漿膜が被覆しており発生母地は空腸壁内であった. HE染色では,好酸性紡錘形細胞の交織性増殖を認めた.免疫染色ではc-kit protein強陽性, CD34弱陽性, S100蛋白は陽性であったが, α-SMAは陰性であった.以上から,本症例は管外性に発育した空腸原発GIST (neural type)と診断した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2696