片側性唇顎口蓋裂患者の発育段階別の顎顔面形態に関する検討 頭部X線規格写真を用いた新しい評価法の試み
本研究では,片側性唇顎口蓋裂患者を対象とし,Hellman Dental AgeのIIIA・IIIB・IIIC・IVAにおける歯科矯正治療開始前の顎顔面形態の把握を側方頭部X線規格写真分析により行っている。加えて,我々は唇顎口蓋裂の一貫治療における顎発育に対し,術者(口腔外科医)と矯正歯科医が共通の認識を有することが,適切な医療の提供につながるものと考えており,顎顔面形態を把握するための頭部X線規格写真について,より簡便な方法の開発が必要と考えられ,これを用いた新しい評価法(Goslon-cephalo法)の試みを報告する。 対象は,当科で一貫治療の下に口唇形成術ならびに口蓋形成術を施行した片...
Saved in:
| Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 37; no. 1; pp. 9 - 21 |
|---|---|
| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
25.04.2012
|
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI | 10.11224/cleftpalate.37.9 |
Cover
| Summary: | 本研究では,片側性唇顎口蓋裂患者を対象とし,Hellman Dental AgeのIIIA・IIIB・IIIC・IVAにおける歯科矯正治療開始前の顎顔面形態の把握を側方頭部X線規格写真分析により行っている。加えて,我々は唇顎口蓋裂の一貫治療における顎発育に対し,術者(口腔外科医)と矯正歯科医が共通の認識を有することが,適切な医療の提供につながるものと考えており,顎顔面形態を把握するための頭部X線規格写真について,より簡便な方法の開発が必要と考えられ,これを用いた新しい評価法(Goslon-cephalo法)の試みを報告する。 対象は,当科で一貫治療の下に口唇形成術ならびに口蓋形成術を施行した片側性唇顎口蓋裂患者のうち,歯科矯正治療開始前の患者64名を対象とした。方法は,対象患者の側面頭部X線規格写真を用いて分析した。さらにGoslon-cephalo法による上下顎の歯槽関係の評価を行い,Type別に5段階に分類した。これらの結果から,より簡便に外科的矯正治療の必要性の有無を鑑別する方法を模索し検討した。 それぞれの時期における正面および側方頭部X線規格写真の分析結果は,IIIA期ではAngle of convexity, A-B plane, Gonial angleがそれぞれ小さい値を示した。IIIB期では,IIIA期の特徴に加えてInterincisal angleが大きくなり,U1 to FH およびU1 to SNが小さい値を示した。IIIC期では,さらにL-1 to mandibular planeが小さい値を示した。 IVA期では,Gonial angleが大きい値を示し,IIIA期よりIVA期にかけて徐々に増大傾向を示す結果となった。また,IIIA期からIVA期までを通して,∠SNAが-1.0 S.D.以上小さくなっていた。 潜在的に外科的矯正治療へ移行する可能性が高い不良群(Type 4 & Type 5)の症例は64 症例中12症例(18.8%)であった。 分析結果から,良好群(Type 1 & 2)は∠SNAおよび∠SNBが全ての時期でともに小さい値を示し,調和のとれた顎間関係であった。一方で不良群(Type 4 & 5)は∠SNAは全ての時期において小さい傾向を示したが,∠SNBの値にはばらつきが認められた。これらの因子は一貫治療の咬合管理において重要な指標となりうる可能性が示唆された。 |
|---|---|
| ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI: | 10.11224/cleftpalate.37.9 |