赤血球凝固を回避するためのプライミング条件の実験的検討

「要旨」アルカリ液に接した赤血球のエキノサイト(echinocyte)化による血液凝集は, 人工心肺の重大なトラブルとなる. 我々は, プライミング条件と充填液のpH変化に着目し, 小児での無血プライミングを想定した人工肺FX05を用いた再循環回路により基礎実験を行い, 安全性の検討を加えた. 充填液として, 乳酸リンゲル, 酢酸リンゲル, 重炭酸リンゲル, 2種の血液ろ過(透析)用補充液を準備し, 再循環時のメインポンプ1L/分, 室温25℃を基本条件とした. 実験1: 当院で使用している血液ろ過用補充液を用い, PV500mLと200mLでのpH変化の違い, 実験2: PV200mLとした...

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Published in体外循環技術 Vol. 38; no. 2; pp. 128 - 134
Main Authors 古籏章裕, 鈴木章司, 藤岡未宇, 深澤加奈子, 長嶺博文, 望月仁, 加賀重亜喜, 榊原賢士, 木村光裕, 加藤香, 松本雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本体外循環技術医学会 01.06.2011
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ISSN0912-2664

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Summary:「要旨」アルカリ液に接した赤血球のエキノサイト(echinocyte)化による血液凝集は, 人工心肺の重大なトラブルとなる. 我々は, プライミング条件と充填液のpH変化に着目し, 小児での無血プライミングを想定した人工肺FX05を用いた再循環回路により基礎実験を行い, 安全性の検討を加えた. 充填液として, 乳酸リンゲル, 酢酸リンゲル, 重炭酸リンゲル, 2種の血液ろ過(透析)用補充液を準備し, 再循環時のメインポンプ1L/分, 室温25℃を基本条件とした. 実験1: 当院で使用している血液ろ過用補充液を用い, PV500mLと200mLでのpH変化の違い, 実験2: PV200mLとした場合に各充填液がpH変化に及ぼす影響, 実験3: 実験2の条件でガス吹送(air500mL/分)とした場合のpH変化を検討した. 実験1からは, PV量が多いほど緩やかなpH変化となる傾向が認められた. 実験2では, 充填液中の重炭酸の有無による差が明確となった. 実験3では, ガス吹送により急激なアルカリ化が惹起されることが明らかとなった. 安全許容時間の短い輸液製剤をプライミングに用いる場合には注意を要すると考えられた.
ISSN:0912-2664