モルモット臼歯の軟骨様セメント質の微細構造的特徴とその形成過程

【目的】モルモット臼歯には3種類のセメント質が認められる. 今回は成長溝(Developmental groove)に観察される軟骨様セメント質についてその微細構造学的特徴および形成過程ついて検索した. 【方法】4週齢のモルモットを用いた動物は4%パラフォルムアルデハイドで還流固定後, 脱灰と非脱灰標本を作成し, 光顕, 電顕的に観察した. また一部の動物は, 石灰化過程を調べる目的でテトラサイクリンを5日毎に3回投与しラベリング像を観察した. 【結果】軟骨様セメント質の形成は, 陥入部の歯小嚢組織に形成細胞の集塊が出現することから始まる. 形成細胞は周囲に均一な構造を持つ球状の基質を分泌し,...

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Published in歯基礎誌 Vol. 45; no. 5; p. 332
Main Authors 佐原紀行, 森山敬太, 影山徹, 三澤康子, 細矢明宏, 小澤英浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】モルモット臼歯には3種類のセメント質が認められる. 今回は成長溝(Developmental groove)に観察される軟骨様セメント質についてその微細構造学的特徴および形成過程ついて検索した. 【方法】4週齢のモルモットを用いた動物は4%パラフォルムアルデハイドで還流固定後, 脱灰と非脱灰標本を作成し, 光顕, 電顕的に観察した. また一部の動物は, 石灰化過程を調べる目的でテトラサイクリンを5日毎に3回投与しラベリング像を観察した. 【結果】軟骨様セメント質の形成は, 陥入部の歯小嚢組織に形成細胞の集塊が出現することから始まる. 形成細胞は周囲に均一な構造を持つ球状の基質を分泌し, そこから石灰化が開始する. 形成細胞を取り囲むように石灰化が進行するため, この時期のラベリング像は網目状を呈していた. その後, 石灰化した軟骨様セメント質の周囲に形成細胞が次々に集まり同様な過程で石灰化が進行し, 最終的には陥入部のほとんどは軟骨様セメント質で満たされるようになった. この時期の軟骨様セメント質では基質内にほぼ均等に分布するセメント小腔様の小腔内に形成細胞が観察された. しかし, 周辺部の小腔内の形成細胞は高い細胞活性を示すのに対し, 中央部に位置した形成細胞のほとんどは変性を示していた. 【考察】モルモットの軟骨様セメント質は, それぞれの形成細胞が一過性に基質を分泌し石灰化が起こり形成される特異な硬組織である.
ISSN:0385-0137