共焦点走査型レーザー顕微鏡(CLSM)による組織三次元立体観察のための新しい抗体浸透法

腫瘍の増殖, 転移の過程および生活習慣病を含む慢性疾患では, 対象組織に組織学的病変を伴うことが多い. これら疾患での組織病変の詳細な病理形態学的な評価を行うことは, 新しい観点からの治療法の確立, 生理活性物質の評価を行うにあたって非常に重要である. 従来, 組織病変の評価には病理切片での平面的な評価方法が主に用いられている. 近年, 共焦点走査型レーザー顕微鏡(CLSM)を用いた研究は数多く行われている. CLSMの特徴は単に画像が明瞭であるのみでなく, 一層の共焦点面を観察できることから連続像を三次元再構築することにより, 立体観察が可能となる点にもある. またその画像データから定量化も...

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Published inJournal of Hard Tissue Biology Vol. 12; no. 3; p. 91
Main Authors 秋田昌彦, 山足敏彦, 瀬津弘順
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 硬組織再生生物学会 01.03.2004
The Society of Hard Tissue Biology
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ISSN1341-7649

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Summary:腫瘍の増殖, 転移の過程および生活習慣病を含む慢性疾患では, 対象組織に組織学的病変を伴うことが多い. これら疾患での組織病変の詳細な病理形態学的な評価を行うことは, 新しい観点からの治療法の確立, 生理活性物質の評価を行うにあたって非常に重要である. 従来, 組織病変の評価には病理切片での平面的な評価方法が主に用いられている. 近年, 共焦点走査型レーザー顕微鏡(CLSM)を用いた研究は数多く行われている. CLSMの特徴は単に画像が明瞭であるのみでなく, 一層の共焦点面を観察できることから連続像を三次元再構築することにより, 立体観察が可能となる点にもある. またその画像データから定量化も可能となる. そこで, 1)病態時における血管走行の異常等を三次元的に明かにする目的で, CSLMを用い, 取り込んだ画像をコンピューターによる三次元再構成処理を行ない観察する方法をラット網膜血管によるモデルにより確立した. 2)組織の三次元観察に必要不可欠な, プローブとなる蛍光物質を組織深部まで浸透させる新たな方法確立した. ここではTween 20あるいはEDTAを高濃度・短時間処理する方法により通常の免疫組織化学染色でも不可能な, 130?mもの組織深部まで抗体が浸透し組織深部のCLSMによる三次元観察が可能となった.
ISSN:1341-7649