薬剤感受性の異なる口腔扁平上皮癌細胞におけるMDR1の発現と転写調節
【目的】MDR1は細胞内に取り込まれた薬剤を細胞外に排出する膜蛋白である. 抗癌剤耐性(SCCTF)と非耐性(SCCKN)の口腔扁平上皮癌細胞株におけるMDR1の発現および機能とその転写調節について検討する. 【方法】SCCTF細胞とSCCKN細胞に投与したヘキスト33342の細胞外への排出によりMDR1の機能を検討した. RT-PCRを用い, 両細胞のMDR1 mRNAの発現を検出した. 両細胞のMDR1プロモーター領域の塩基配列を調べ, この領域への転写因子結合能についてゲルシフトアッセイ法を用いて比較した. MDR1の転写調節に関わる因子の発現をウエスタンブロット法により検出した. 【結...
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| Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 44; no. 5; p. 394 |
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| Main Authors | , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
歯科基礎医学会
20.09.2002
Japanese Association for Oral Biology |
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| ISSN | 0385-0137 |
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| Summary: | 【目的】MDR1は細胞内に取り込まれた薬剤を細胞外に排出する膜蛋白である. 抗癌剤耐性(SCCTF)と非耐性(SCCKN)の口腔扁平上皮癌細胞株におけるMDR1の発現および機能とその転写調節について検討する. 【方法】SCCTF細胞とSCCKN細胞に投与したヘキスト33342の細胞外への排出によりMDR1の機能を検討した. RT-PCRを用い, 両細胞のMDR1 mRNAの発現を検出した. 両細胞のMDR1プロモーター領域の塩基配列を調べ, この領域への転写因子結合能についてゲルシフトアッセイ法を用いて比較した. MDR1の転写調節に関わる因子の発現をウエスタンブロット法により検出した. 【結果と考察】SCCTF細胞はSCCKN細胞に比べ, MDR1 mRNAを多く発現し, ヘキスト33342を速やかに細胞外へ排出した. 両細胞のプロモーター領域の塩基配列に相違はなかったが, この領域に結合する転写因子の能力はSCCTF細胞の方がSCCKN細胞より強かった. この領域内に結合し転写調節するEgr-1蛋白の発現量もSCCTF細胞の方が高かった. 以上の結果により, 両細胞の薬剤感受性の違いの一因にMDR1の発現および機能の差が関与すること, MDR1の発現量の差はEgr-1の発現量の差に起因することが示唆された. |
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| ISSN: | 0385-0137 |