脳卒中片麻痺患者のphysiological cost index (PCI)の検討
【目的】運動に対する生理学的応答を評価する目的で, Physiological cost index (PCI:MacGregor)が簡便法として使われている. PCIは[歩行時心拍数―安静時心拍数(分)/歩行速度(m/分)](beats/m)の式で示されるように, 単位距離あたりの心拍数変化△HRとして表される. 片麻痺患者のように歩行能力低下のある患者にPCIを適応することの妥当性を検討する目的で, PCI, 自転車エルゴメーターによる身体作業能力(physical work capacity; PWC)を測定し, その関連を検討した. 【方法】脳卒中片麻痺患者11例を対象とした. PCI...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 28; no. 11; pp. 852 - 853 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
1991
社団法人日本リハビリテーション医学会 The Japanese Association of Rehabilitation Medicine |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】運動に対する生理学的応答を評価する目的で, Physiological cost index (PCI:MacGregor)が簡便法として使われている. PCIは[歩行時心拍数―安静時心拍数(分)/歩行速度(m/分)](beats/m)の式で示されるように, 単位距離あたりの心拍数変化△HRとして表される. 片麻痺患者のように歩行能力低下のある患者にPCIを適応することの妥当性を検討する目的で, PCI, 自転車エルゴメーターによる身体作業能力(physical work capacity; PWC)を測定し, その関連を検討した. 【方法】脳卒中片麻痺患者11例を対象とした. PCIは最も歩きやすい歩行を3分間行い, 上述の式で算出した. PWCは10-30-50 Wの3段階, 各3分間継続の漸増運動負荷を自転車エルゴメーター健側脚駆動にて行い, 20秒ごとにVO_2 ml/kg/分を測定した. VO_2 -運動負荷強度が有意の回帰を呈した症例にて, その傾きとPCIの関係を検討した. 【結果】VO_2 -運動負荷強度関係の傾きとPCIの関係は有意で, PCIが小さいほど傾きが大であった. 【考察・結論】運動強度に対するVO_2 の傾きは, 有酸素的な運動の効率(aerobic work efficiency)を示す変数である. 運動強度の増加に伴い運動している人の活動筋によって取り込まれる酸素の増加量を示している. PCIが小さいほどその傾きが大で, PCI測定は身体作業能力をも反映した評価しうる簡便な測定法といえる. <質疑応答> 間嶋満(座長):VO_2 /Wは, 運動効率を反映しているのではないか. 佐直信彦:HRとVO_2 との関係においても, HR 100, 110, 120, 130の各HRでPCIが小さいほどVO_2 が大きい結果が得られた. これらの結果をも考慮して, PCIは片麻痺患者の歩行時の身体作業能力を反映しているものと考えている. |
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ISSN: | 0034-351X |