ラット口輪筋を支配する顔面神経活動の口腔感覚入力による変調

口輪筋は摂食や飲水などに際し, 咀嚼筋や舌筋と機能的相関をもって重要な機能を営んでいると考えられている. そこで本研究では, ラットの口輪筋を支配する顔面神経活動が口腔周囲顔面領域や口腔内からの感覚入力によってどう変調されるかを触刺激を用いて検討した. 【方法】実験にはウイスター系雄ラットを用いた. 麻酔下にて上位中枢からの影響を遮断するため, 四丘体前端部で切断除脳し, 顔面神経の末梢枝を露出した. 非動化した後, 顔面神経を機能的単一神経線維に分離したうえで記録を行い, 口腔周囲顔面並びに口腔内をガラス棒で触刺激して神経活動変化を調べた. 【結果と考察】口輪筋を支配する各末梢枝(頬枝, 下...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 498
Main Authors 水野潤造, 松尾龍二, 森本俊文, 湯山徳行, 田村謙二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.1999
Japanese Association for Oral Biology
Online AccessGet full text
ISSN0385-0137

Cover

More Information
Summary:口輪筋は摂食や飲水などに際し, 咀嚼筋や舌筋と機能的相関をもって重要な機能を営んでいると考えられている. そこで本研究では, ラットの口輪筋を支配する顔面神経活動が口腔周囲顔面領域や口腔内からの感覚入力によってどう変調されるかを触刺激を用いて検討した. 【方法】実験にはウイスター系雄ラットを用いた. 麻酔下にて上位中枢からの影響を遮断するため, 四丘体前端部で切断除脳し, 顔面神経の末梢枝を露出した. 非動化した後, 顔面神経を機能的単一神経線維に分離したうえで記録を行い, 口腔周囲顔面並びに口腔内をガラス棒で触刺激して神経活動変化を調べた. 【結果と考察】口輪筋を支配する各末梢枝(頬枝, 下顎縁枝上部, 下顎縁枝下部)から神経線維活動を記録し, そのうちおよそ40%が触刺激に反応した. 口腔周囲顔面からの入力に関しては, 受容野は各々の神経走行部位にほぼ対応しており, 触刺激の効果は頬枝, 下顎縁枝上部では興奮が, 下顎縁枝下部では抑制が多かった. 一方, 口腔内への触刺激では興奮, 抑制されるタイプがともに見られ, 多くの受容野は刺激側と同側の口蓋部に存在していた. 【結論】口輪筋の運動を支配する顔面神経の活動は顔面や口腔内からの感覚入力によって変調され, 入力エリアと出力エリアの間には高い関連性が見られることが判明した.
ISSN:0385-0137