腹腔動脈根部狭窄や閉塞を伴わない膵十二指腸動脈瘤の1例

膵十二指腸動脈瘤は比較的珍しい疾患で,感染や膵炎,動脈硬化等以外の約半数が腹腔動脈根部閉塞や狭窄が原因とされている.上腸間膜動脈血流が大量に膵十二指腸動脈を経由し腹腔動脈系へ流れること,動脈の脆弱性も加わることで動脈瘤が発生すると考えられている.われわれは腹腔動脈根部閉塞を伴わない膵十二指腸動脈瘤症例を経験した.動脈瘤と拡張した膵十二指腸動脈の塞栓により同動脈は正常に近い太さに回復,またarc of Buhlerの塞栓にて上腸間膜動脈から腹腔動脈系へのシャント血流が消失した.以上より, arc of Buhlerによるシャント血流で上腸間膜動脈と腹腔動脈の圧格差を生じ,膵十二指腸動脈に圧と血流...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 5; pp. 1203 - 1207
Main Authors 川崎, 繁, 十倉, 正朗
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.1203

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Summary:膵十二指腸動脈瘤は比較的珍しい疾患で,感染や膵炎,動脈硬化等以外の約半数が腹腔動脈根部閉塞や狭窄が原因とされている.上腸間膜動脈血流が大量に膵十二指腸動脈を経由し腹腔動脈系へ流れること,動脈の脆弱性も加わることで動脈瘤が発生すると考えられている.われわれは腹腔動脈根部閉塞を伴わない膵十二指腸動脈瘤症例を経験した.動脈瘤と拡張した膵十二指腸動脈の塞栓により同動脈は正常に近い太さに回復,またarc of Buhlerの塞栓にて上腸間膜動脈から腹腔動脈系へのシャント血流が消失した.以上より, arc of Buhlerによるシャント血流で上腸間膜動脈と腹腔動脈の圧格差を生じ,膵十二指腸動脈に圧と血流増大の負荷が加わり,動脈は拡張し動脈瘤が発生した と考えられた.治療上arc of Buhlerの遮断と膵十二指腸動脈瘤の塞栓が必要と考えられ, IVRは非侵襲的で有効な手段と思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.1203