咽頭領域におけるうま味受容について

【目的】食べ物の美味しさという感覚は, 舌で感じる味のみで形成されるものではない. 咽頭, 喉頭で受容する味も美味しさを構成する重要な要素である. しかしながら, 咽頭, 喉頭領域からの味覚入力について調べた研究は殆どない. 本研究は, 食べ物を美味しくするうま味物質が咽頭領域においてどのように受容されるのか検討した. 【方法】うま味を他の味と区別できるC57BL/6Jマウスと, うま味を塩味または甘味として捉えるWistarラットで実験した. 麻酔した動物の咽頭領域全体を溶液刺激し, 咽頭の味覚を伝達する舌咽神経咽頭枝の求心性インパルスを比較した. 刺激溶液には, グルタミン酸ナトリウム(M...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 595
Main Authors 北川純一, 真貝富夫, 高橋義弘, 山田好秋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】食べ物の美味しさという感覚は, 舌で感じる味のみで形成されるものではない. 咽頭, 喉頭で受容する味も美味しさを構成する重要な要素である. しかしながら, 咽頭, 喉頭領域からの味覚入力について調べた研究は殆どない. 本研究は, 食べ物を美味しくするうま味物質が咽頭領域においてどのように受容されるのか検討した. 【方法】うま味を他の味と区別できるC57BL/6Jマウスと, うま味を塩味または甘味として捉えるWistarラットで実験した. 麻酔した動物の咽頭領域全体を溶液刺激し, 咽頭の味覚を伝達する舌咽神経咽頭枝の求心性インパルスを比較した. 刺激溶液には, グルタミン酸ナトリウム(MSG), イノシン酸ナトリウム(IMP), グルタミン酸カリウム(MPG), イノシン酸カリウム(IMP, 2K), 蒸留水(DW), さらにうま味の相乗効果を調べるためにMSGとIMP, MPGとIMP, 2Kの混合溶液を用いた. 【結果】マウスでは蒸留水応答に比べ, MSG, IMP応答は有意に大きかった. うま味の相乗効果はみられなかった. ラットでは蒸留水応答に比べ, MSG, IMP応答はやや小さかったが, MPG応答は有意に大きかった. 【結論】マウス, ラットともに咽頭領域におけるうま味の受容機構の存在が示唆された. 相乗効果が認められなかったことから, 舌咽神経咽頭枝のうま味受容機構は, 鼓索神経または舌咽神経舌枝とは異なることが考えられる.
ISSN:0385-0137