老年者気管支喘息における臨床病態の特徴 臨床病型による検討

老年者気管支喘息25例 (平均年齢65.2歳) および若壮年者喘息30例 (平均年齢44.9歳) を対象に, その臨床病型別の気道反応の特徴について検討を加えた. 気管支喘息は, その臨床病態より, Ia-1. 気管支攣縮型 (1日喀痰量0~49ml), Ia-2 (50~99ml), Ib. 気管支攣縮+過分泌型 (100ml以上), II. 細気管支閉塞型の3つの臨床病型に分類した. 1. 臨床病型別の老年症例と若壮年症例の換気機能の比較では, 喀痰量の多いIa-2型およびIb型で, %V25値は老年症例で若壮年症例に比べ有意に低い値を示した. 2. 喘息の原型であるIa-1型の換気パラメ...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 30; no. 2; pp. 116 - 122
Main Authors 岡崎, 守宏, 光延, 文裕, 御船, 尚志, 貴谷, 光, 谷崎, 勝朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.02.1993
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.30.116

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Summary:老年者気管支喘息25例 (平均年齢65.2歳) および若壮年者喘息30例 (平均年齢44.9歳) を対象に, その臨床病型別の気道反応の特徴について検討を加えた. 気管支喘息は, その臨床病態より, Ia-1. 気管支攣縮型 (1日喀痰量0~49ml), Ia-2 (50~99ml), Ib. 気管支攣縮+過分泌型 (100ml以上), II. 細気管支閉塞型の3つの臨床病型に分類した. 1. 臨床病型別の老年症例と若壮年症例の換気機能の比較では, 喀痰量の多いIa-2型およびIb型で, %V25値は老年症例で若壮年症例に比べ有意に低い値を示した. 2. 喘息の原型であるIa-1型の換気パラメーターの値を100として, 各臨床病型間で比較すると, 老年症例では, II. 細気管支閉塞型で全般的に換気パラメーターの低下傾向が観察されたものの有意差は見られなかった. しかし, Ia-1型を除きいずれの病型においても, Ia-1型と比較した%V25値は70%以下を示し, 老年症例では, II型以外でも細気管支領域に換気障害が存在する可能性が示唆された. 一方, 若壮年症例では, II型で他の臨床病型に比べ%MMF, %V50および%V25などの換気パラメーターの有意の低下が見られた. 3. 気道遊走細胞からの観察では, 老年症例に比べ若壮年症例において, Ib. 過分泌型では好酸球の増加が, またII. 細気管支閉塞型では好中球の増加が, より高度である傾向が見られた. 以上の結果より, 気管支喘息の各臨床病型に特徴的な気道の病態的変化は, 老年症例に比べ若壮年症例においてより高度である可能性が示唆された.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.30.116