認知症患者を在宅において看取るためのケアのあり方 第1報 レーダーチャート作成の試み

<はじめに>中重度の認知症の人を最期まで在宅で支えるケアのあり方や援助方法について検討したので2報に分けて報告する。 <研究方法>都市郊外と農村部に居住する認知症者のうち「認知症高齢者の日常生活自立度判定II以上」であり、かつ、在宅で6か月以上療養している29人(以後在宅療養者)と6カ月以上在宅療養後に施設入所した60人(以後施設入所者)を対象者とした。在宅療養者は調査時の状態やケア状況、施設入所者は入所直前の状態やケアの状況について研究者、ケアマネジャーなどが個別に介護者からアンケート調査用紙を用いて聞きとった。調査期間は平成19年8月~12月。補充調査を平成20年1月に行った。 <レーダー...

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Published in日本農村医学会学術総会抄録集 p. 71
Main Authors 宮原, 伸二, 樽井, 恵美子, 塚原, 貴子, 山下, 幸恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2008
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.57.0.71.0

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Summary:<はじめに>中重度の認知症の人を最期まで在宅で支えるケアのあり方や援助方法について検討したので2報に分けて報告する。 <研究方法>都市郊外と農村部に居住する認知症者のうち「認知症高齢者の日常生活自立度判定II以上」であり、かつ、在宅で6か月以上療養している29人(以後在宅療養者)と6カ月以上在宅療養後に施設入所した60人(以後施設入所者)を対象者とした。在宅療養者は調査時の状態やケア状況、施設入所者は入所直前の状態やケアの状況について研究者、ケアマネジャーなどが個別に介護者からアンケート調査用紙を用いて聞きとった。調査期間は平成19年8月~12月。補充調査を平成20年1月に行った。 <レーダーチャートの作成>レーダーチャート作成のための項目選択に関しては、入所理由や在宅療養者と施設入所者間で有意差のあるものなど10項目を選定した。各項目の配点は、認知症の状態とケアのあり方(副介護者の有無、問題行動の有無、通所サービスの利用状況、介護保険の利用状況、地域の支援の状況、医師やケアマネジャーの熱意、介護者の健康や熱意)について1点、2点、3点と3段階(訪問看護のみ1点、3点に2段階)に分けてレーダーチャートを作成した。満点は30点になる。 <結果と考察>在宅療養者と施設入所者を比較したレーダーチャートを下図に示した。長期在宅療養、在宅死はレーダーチャートの図形が在宅療養者と類似するか、それを上回る場合、あるいは、介護者や副介護者の条件が整っている、または、医師、ケアマネジャー、訪問看護師などの専門職の熱意が強ければ、他の条件にいささか課題はあっても可能と思われた。問題行動については、急激な悪化がみられなければ在宅療養を否定する条件にはならない。総合点の平均点は在宅療養者20.5±3.1、施設入所者16.45±2.6であり、両者間には有意差(P<0.01)を認めた。さらに、レーダーチャートを検証した在宅死3例からも、本レーダーチャートの活用は有用と思われた。(本研究は平成19年度全共連委託研究として行った)
Bibliography:1F023
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.57.0.71.0