左右の腹痛を呈して診断に難渋した両側Anterior cutaneous nerve entrapment syndrome (ACNES) の1例

「要旨」前皮神経絞扼症候群 : Anterior cutaneous nerve entrapment syndrome (ACNES) は10から18歳の慢性腹痛の約13%と一定数存在する. しかし, 疾患の認知度はいまだ低いのが現状である. 両側ACNESの外科的治療成績は片側例と比較して低い可能性があり, 追加の治療が必要になる場合も多い. 我々は診断に難渋した両側のACNES患児に対して神経切除術を行い, 良好な結果が得られたため報告する. 症例は12歳女児. 当科受診の4か月前から臍の左右を中心とした腹痛があった. 血液検査や画像検査で異常は認めず, 保存的治療は無効であった. Ca...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 985 - 989
Main Authors 原田七海, 藤井喬之, 田中彩, 形見祐人, 戸田恵梨, 中條浩介, 荻野祐一, 近藤健夫, 近藤園子, 下野隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.12.2024
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ISSN0288-609X

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Summary:「要旨」前皮神経絞扼症候群 : Anterior cutaneous nerve entrapment syndrome (ACNES) は10から18歳の慢性腹痛の約13%と一定数存在する. しかし, 疾患の認知度はいまだ低いのが現状である. 両側ACNESの外科的治療成績は片側例と比較して低い可能性があり, 追加の治療が必要になる場合も多い. 我々は診断に難渋した両側のACNES患児に対して神経切除術を行い, 良好な結果が得られたため報告する. 症例は12歳女児. 当科受診の4か月前から臍の左右を中心とした腹痛があった. 血液検査や画像検査で異常は認めず, 保存的治療は無効であった. Carnett徴候陽性であることや, トリガーポイント注射で一時的に痛みが軽減することからACNESと診断した. 腹直筋の前後のレベルで神経切除術を行うと, 術直後から痛みは消失した. 両側のACNESに対する外科的治療において, 腹直筋の前後のレベルで神経切除術を行うことは, 根治性を高める可能性がある.
ISSN:0288-609X