血友病患者に対する外来看護の課題とその対策

「要旨」【目的】希少疾患の血友病患者に対する外来看護では, 限られた時間や人員体制で患者の特徴を捉え, 的確な看護を提供する必要がある. そこで本研究では, 血友病患者の外来通院に関わる看護師に面接調査を行い, 血友病患者に対する外来看護の課題とその対策について明らかにした. 【方法】血友病医療に関わったことのある看護師4名に対して半構造化面接を実施した. 質問項目は, 基本属性, 医療機関の連携・協働, 血友病看護, 患者・家族・保因者への医療・看護・ケア等についてであった. 語りはICレコーダーに録音し, 個人が特定されないよう匿名化した上で逐語録を作成した. 分析は, 逐語録を繰り返し読...

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Published in兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 28; pp. 25 - 35
Main Authors 大村佳代子, 九津見雅美, 松原千恵, 中塚朋子, 西村佳子, 牛尾里美, 中島由記子, 蘭由岐子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所 01.03.2021
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ISSN1881-6592

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Summary:「要旨」【目的】希少疾患の血友病患者に対する外来看護では, 限られた時間や人員体制で患者の特徴を捉え, 的確な看護を提供する必要がある. そこで本研究では, 血友病患者の外来通院に関わる看護師に面接調査を行い, 血友病患者に対する外来看護の課題とその対策について明らかにした. 【方法】血友病医療に関わったことのある看護師4名に対して半構造化面接を実施した. 質問項目は, 基本属性, 医療機関の連携・協働, 血友病看護, 患者・家族・保因者への医療・看護・ケア等についてであった. 語りはICレコーダーに録音し, 個人が特定されないよう匿名化した上で逐語録を作成した. 分析は, 逐語録を繰り返し読み, 外来看護体制の背景, 血友病患者・家族への外来看護の特色や課題, それに対する取り組みについて着目し, 意味のあるまとまりごとに文節化し, コード化を行った. コード化したものを類似性・差異性を検討してカテゴリ化を行った. 【結果】血友病患者に対する外来看護の課題として, 〔長い生活史をもつ患者の特徴を捉えた関わりが必要である〕〔血友病の理解と繊細な配慮を要する相談がある〕〔一人の看護師が抱え込む状態になりやすい〕〔イレギュラーな地域連携の形態をとる〕という4つのカテゴリと, 血友病患者への外来看護の課題に対する個人および組織としての対策として, 〔血友病看護について主体的に学び取る工夫をする〕〔患者・家族への情報提供を行う〕〔時間がない外来業務の中で提供する看護の質を維持する〕〔医療者への教育学習支援や人材育成を行う〕の4カテゴリが抽出された. 【結論】血友病患者に対する外来看護では, 限られた時間の中で的確に自己管理状況を把握し, HIV感染症や遺伝などの繊細な問題にも対応する必要があるため, 一人の外来看護師が抱え込むことになりやすい課題が明らかとなった. チームで患者を支えることが出来るよう, 個人レベルでの対策だけでなく, 組織としても教育体制や人員体制を整える対策が必要であることが示唆された.
ISSN:1881-6592