大学女子長距離走選手の身体部位別骨密度と月経周期・女性ホルモンとの関連

〔要旨〕目的:女子長距離走選手では月経異常により骨粗鬆症を生じるが, 反復する力学的負荷により下肢骨密度は高値となり, 下肢の骨密度のみを用いて全身の骨密度を評価することは困難である. 本調査の目的は女子長距離走選手の身体部位別骨密度と月経周期・女性ホルモンとの関連を明らかにすることである. 対象と方法:大学女子長距離走選手17名を対象に, 月経状況を調査した. またDEXA法により橈骨, 腰椎, 大腿骨骨密度と血中エストラジオール(E2)を測定した. 結果と考察:94%で月経異常を認め, 稀発月経6例(35%), 続発性無月経7例(41%), 原発性無月経3例(18%)であった. E2は20...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 25; no. 2; pp. 248 - 253
Main Authors 藤田有紀, 佐々木英嗣, 米田勝朗, 衣笠祥子, 加藤健, 津田英一, 石橋恭之, 梅田孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2017
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕目的:女子長距離走選手では月経異常により骨粗鬆症を生じるが, 反復する力学的負荷により下肢骨密度は高値となり, 下肢の骨密度のみを用いて全身の骨密度を評価することは困難である. 本調査の目的は女子長距離走選手の身体部位別骨密度と月経周期・女性ホルモンとの関連を明らかにすることである. 対象と方法:大学女子長距離走選手17名を対象に, 月経状況を調査した. またDEXA法により橈骨, 腰椎, 大腿骨骨密度と血中エストラジオール(E2)を測定した. 結果と考察:94%で月経異常を認め, 稀発月経6例(35%), 続発性無月経7例(41%), 原発性無月経3例(18%)であった. E2は20.5±10.3pg/mlと低値で, 橈骨骨密度とのみ正の相関を認めた. 女子長距離走選手においては橈骨骨密度が最もE2値を反映しており全身の骨密度の評価に有用であると考えられた.
ISSN:1346-4159