リウマチ性多発筋痛症に合併した肺Mycobacterium shinjukuense感染症の1例

「要旨」: 症例は72歳, 女性. 約10年前から胸部異常陰影を指摘され, 陳旧性肺結核として定期的に経過観察されていた. 70歳時リウマチ性多発筋痛症と診断されステロイド投与が開始された. その後から, 陰影は急速に増悪し, 空洞性陰影を形成し, 喀痰検査で非結核性抗酸菌が検出されたがDNA-DNA hybridization (DDH) 法で同定不能であった. ステロイド減量に伴って空洞性陰影はやや縮小したが, 咳嗽・喀痰が持続するため, 精査目的に当院紹介受診した. 当院で行った喀痰検査でも繰り返し抗酸菌が検出され, DDH法では同定不能であったがrpoB, 16S rRNAおよびhsp...

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Published in結核 Vol. 93; no. 8; pp. 473 - 477
Main Authors 前田悠太郎, 西尾和三, 荒川健一, 荒井亮輔, 会田信治, 中野泰, 加行淳子, 鹿住祐子, 御手洗聡
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.08.2018
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」: 症例は72歳, 女性. 約10年前から胸部異常陰影を指摘され, 陳旧性肺結核として定期的に経過観察されていた. 70歳時リウマチ性多発筋痛症と診断されステロイド投与が開始された. その後から, 陰影は急速に増悪し, 空洞性陰影を形成し, 喀痰検査で非結核性抗酸菌が検出されたがDNA-DNA hybridization (DDH) 法で同定不能であった. ステロイド減量に伴って空洞性陰影はやや縮小したが, 咳嗽・喀痰が持続するため, 精査目的に当院紹介受診した. 当院で行った喀痰検査でも繰り返し抗酸菌が検出され, DDH法では同定不能であったがrpoB, 16S rRNAおよびhsp65遺伝子配列からMycobacterium shinjukuenseと同定され, 同菌による肺感染症と診断した. 過去の報告例を参考に高度緑内障の合併があったことを考慮してイソニアジド, リファンピシン, クラリスロマイシンで治療を開始したが, 肝障害が出現したためリファンピシン, クラリスロマイシン, レボフロキサシンに変更し継続することによって菌陰性化と画像所見の改善を得た.
ISSN:0022-9776