AYA世代発症の虫垂原発腺癌の1例

「要旨」症例は17歳女性. 下腹部痛を主訴に前医受診し, 画像検査の結果虫垂周囲膿瘍または虫垂腫瘤の疑いで当院紹介となった. 術前検査からは確定診断に至らなかったが, 虫垂悪性腫瘍の可能性を念頭におき腹腔鏡下回盲部切除術を行った. 術中迅速組織検査の結果, adenocarcinomaであることが判明したため, D2リンパ節郭清術, 右付属器切除術, 後腹膜部分切除術を追加し, 一期的に手術を完遂した. 病理検査の結果, 固有筋層までの浸潤に留まっておりリンパ節転移は認めなかった. 頻度は非常に低いが, 非典型的な経過や画像所見を認める患者においては, 若年者であっても悪性腫瘍の可能性を考慮す...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 60; no. 7; pp. 997 - 1003
Main Authors 古賀翔馬, 川久保尚徳, 近藤琢也, 馬庭淳之介, 玉城昭彦, 濱田洋, 福田篤久, 永田公二, 松浦俊治, 田尻達郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児外科学会 20.12.2024
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ISSN0288-609X

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Summary:「要旨」症例は17歳女性. 下腹部痛を主訴に前医受診し, 画像検査の結果虫垂周囲膿瘍または虫垂腫瘤の疑いで当院紹介となった. 術前検査からは確定診断に至らなかったが, 虫垂悪性腫瘍の可能性を念頭におき腹腔鏡下回盲部切除術を行った. 術中迅速組織検査の結果, adenocarcinomaであることが判明したため, D2リンパ節郭清術, 右付属器切除術, 後腹膜部分切除術を追加し, 一期的に手術を完遂した. 病理検査の結果, 固有筋層までの浸潤に留まっておりリンパ節転移は認めなかった. 頻度は非常に低いが, 非典型的な経過や画像所見を認める患者においては, 若年者であっても悪性腫瘍の可能性を考慮することが重要である.
ISSN:0288-609X