日本語版Nyberg Caring Assessment Scale (日本語版CAS) の信頼性と妥当性の検討
「要旨」【目的】日本語版Nyberg Caring Assessment Scale(日本語版CAS)の信頼性と妥当性を検討した. 【方法】看護を専門とする研究者2名で各々が翻訳した案の相違点について討議し, 内容妥当性の検討を行い, 日本語版CAS(案)を作成した. 研究協力が得られた一般病院の病棟で働く5名の看護師を対象にプレテストを行った. 対象者の意見をもとに表面妥当性の検討を行い, 日本語版CASを作成した. 便宜的標本抽出法により4つの一般病院に研究協力の同意を得た. 合計400部を病棟で働く看護師に配布してもらい, 145名より回答を得た(回収率36.2%). そのうち回答に欠損...
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Published in | 兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 Vol. 27; pp. 39 - 48 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所
01.03.2020
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ISSN | 1881-6592 |
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Summary: | 「要旨」【目的】日本語版Nyberg Caring Assessment Scale(日本語版CAS)の信頼性と妥当性を検討した. 【方法】看護を専門とする研究者2名で各々が翻訳した案の相違点について討議し, 内容妥当性の検討を行い, 日本語版CAS(案)を作成した. 研究協力が得られた一般病院の病棟で働く5名の看護師を対象にプレテストを行った. 対象者の意見をもとに表面妥当性の検討を行い, 日本語版CASを作成した. 便宜的標本抽出法により4つの一般病院に研究協力の同意を得た. 合計400部を病棟で働く看護師に配布してもらい, 145名より回答を得た(回収率36.2%). そのうち回答に欠損がなかった137名(有効回答率34.2%)を分析の対象とした. 質問紙は, 対象者の基本情報のほか併存的妥当性を検討するための日本語版Caring Efficacy Scale(日本語版CES)を加えて構成した. 分析にはSPSS ver.22を用い, 探索的因子分析, Cronbach's α 係数の算出, 日本語版CESとの相関分析を行った. 【結果】探索的因子分析により5つの因子が抽出された. その内容から第1因子は<他者の成長に焦点を当ててケアを行う>, 第2因子は<他者のニーズに敬意をもって対応する>, 第3因子は<相手の状況を理解して深くかかわる>, 第4因子は<ケアの構えをもつ>, 第5因子は<他者に気持ちを表現する>と命名した. 尚, 第5因子の下位尺度は「他者に前向きな気持ちも, 後ろ向きの気持ちも表現している」の1項目のみであった. 全体のCronbach's α 係数は0.916であり, 第1因子~第4因子のCronbach's α 係数は, 0.746~0.865であった. 日本語版CASと日本語版CESとは有意な相関関係を示した(ρ=0.624 p<0.001). 【結論】米国で開発されたケアリング特性を測定するCAS(20項目)の日本語版を作成し, 信頼性と妥当性について検討した. 抽出された各因子の下位尺度において内的整合性は確認され, また日本語版CESとの併存的妥当性も確認された. このことにより日本語版CASは一定の信頼性を得ることはできた. ただし, 第5因子は1項目のみで構成され, またこの項目は他の項目との相関係数が低いため, 今後はこの1項目についてさらなる検討を行う必要がある. |
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ISSN: | 1881-6592 |