内視鏡的食道静脈瘤硬化療法施行後の直達手術 fundic patch法応用食道離断術の有用性

5%ethanolamine oleateを用いた内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を1から9回 (平均3.8回) 施行した後7日から15か月 (平均8か月) に直達手術を施行した.15例でfundic patch法応用の食道離断術, 1例でEEAによる食道離断後に大弯側2/3周のfundoplicationを付加し, また全例で傍胃傍食道血行郭清, 脾摘を行った.硬化療法の回数の多い症例では下部食道壁の炎症性肥厚, 硬化, 食道周囲組織との癒着がみられ, これらの症例では手術時間, 術中出血量が大きく, また迷走神経が切離される場合が多かった, しかし術後縫合不全はなく, 術死, 入院死亡例はなかっ...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 24; no. 7; pp. 1887 - 1891
Main Authors 松野, 伸哉, 目黒, 英二, 斉藤, 和好, 菊池, 充, 旗福, 公英, 渡辺, 正敏, 中村, 隆二, 杉村, 好彦, 佐藤, 武彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.1991
一般社団法人日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
Subjects
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.24.1887

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Summary:5%ethanolamine oleateを用いた内視鏡的食道静脈瘤硬化療法を1から9回 (平均3.8回) 施行した後7日から15か月 (平均8か月) に直達手術を施行した.15例でfundic patch法応用の食道離断術, 1例でEEAによる食道離断後に大弯側2/3周のfundoplicationを付加し, また全例で傍胃傍食道血行郭清, 脾摘を行った.硬化療法の回数の多い症例では下部食道壁の炎症性肥厚, 硬化, 食道周囲組織との癒着がみられ, これらの症例では手術時間, 術中出血量が大きく, また迷走神経が切離される場合が多かった, しかし術後縫合不全はなく, 術死, 入院死亡例はなかった.術後の静脈瘤再発率, 遠隔生存率においても, 硬化療法の既往のない手術症例と比較して同等の成績が得られた.Fundic patch応用食道離断術は頻回の硬化療法を受けた症例にたいする待期手術, 硬化療法後早期の出血例にたいする緊急手術においては有力な手術オプションと考えられた.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.24.1887