治療中に一過性に皮膚病変の悪化を認めた粟粒結核の1例

「要旨」 : 症例は76歳, 女性. 難治性の皮疹を契機に皮膚結核を合併した粟粒結核と診断され抗結核剤投与が開始された. 薬剤感受性試験で耐性は認められず, 肺野病変・皮膚病変とも一旦改善した. しかし, 抗結核剤内服継続にもかかわらず皮膚病変が再度出現し, 当院紹介入院となった. 皮下結節・皮下膿瘍を認め, 膿の抗酸菌塗抹は陽性・結核菌群PCR陽性であったが, 培養は陰性であった. 入院後も皮膚病変は複数出現したが, いずれの病変からの検体においても抗酸菌塗抹は陽性であったが培養は陰性で生菌は検出されなかった. このため結核治療中に結核菌成分 (死菌) に対する局所のアレルギー反応によって生...

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Published in結核 Vol. 94; no. 10; pp. 491 - 495
Main Authors 尾崎光一, 長谷川華子, 荒井亮輔, 荒川健一, 中野泰, 加行淳子, 龍神操, 品川俊人, 杜雯林, 西尾和三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核病学会 15.10.2019
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ISSN0022-9776

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Summary:「要旨」 : 症例は76歳, 女性. 難治性の皮疹を契機に皮膚結核を合併した粟粒結核と診断され抗結核剤投与が開始された. 薬剤感受性試験で耐性は認められず, 肺野病変・皮膚病変とも一旦改善した. しかし, 抗結核剤内服継続にもかかわらず皮膚病変が再度出現し, 当院紹介入院となった. 皮下結節・皮下膿瘍を認め, 膿の抗酸菌塗抹は陽性・結核菌群PCR陽性であったが, 培養は陰性であった. 入院後も皮膚病変は複数出現したが, いずれの病変からの検体においても抗酸菌塗抹は陽性であったが培養は陰性で生菌は検出されなかった. このため結核治療中に結核菌成分 (死菌) に対する局所のアレルギー反応によって生じるparadoxical response (いわゆる初期悪化) による一過性の悪化と考え, 抗結核薬を変更することなく継続したところすべての皮膚病変は改善した. 皮膚の結核性病変のparadoxical responseについての知見は乏しく, 貴重な症例と考え報告した.
ISSN:0022-9776