足関節内反捻挫の既往を有する大学野球選手における足部アライメントと動的バランスの関係

〔要旨〕本研究は足関節内反捻挫(LAS)既往者と健常者で足部アライメント指標(FA)を比較し, FAが片足立位動作(立位条件)と前方への片足踏み込み動作(踏み込み条件)の両動作の重心不安定期および重心安定期の重心動揺へ与える影響を検討することを目的とした. 対象は硬式野球部に所属する男子大学生34名とし, 非投球側にLASの既往がある10名を捻挫群, 左右両下肢にLAS既往歴がない24名を健常群に分類した. FAは内側縦アーチ高率, 第1・第5趾側角, 前足部横アーチ指標として開張角と足幅/足長比を計測した. 重心動揺指標はCOP軌跡速度, 重心動揺面積とした. FAは, 捻挫群と健常群の両群...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 30; no. 3; pp. 740 - 749
Main Authors 安田良子, 栗原俊之, 篠原靖司, 伊坂忠夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 31.08.2022
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕本研究は足関節内反捻挫(LAS)既往者と健常者で足部アライメント指標(FA)を比較し, FAが片足立位動作(立位条件)と前方への片足踏み込み動作(踏み込み条件)の両動作の重心不安定期および重心安定期の重心動揺へ与える影響を検討することを目的とした. 対象は硬式野球部に所属する男子大学生34名とし, 非投球側にLASの既往がある10名を捻挫群, 左右両下肢にLAS既往歴がない24名を健常群に分類した. FAは内側縦アーチ高率, 第1・第5趾側角, 前足部横アーチ指標として開張角と足幅/足長比を計測した. 重心動揺指標はCOP軌跡速度, 重心動揺面積とした. FAは, 捻挫群と健常群の両群間に有意な差はなかった. 重心安定期の重心動揺は, 立位条件ではCOP軌跡速度(前後方向, Y方向)が捻挫群のほうが有意に低値を示し, 踏み込み条件ではCOP軌跡速度(内外側方向, X方向)が捻挫群のほうが有意に高値を示した. 踏み込み条件は, 重心安定期のCOP軌跡速度(X方向)と足幅/足長比との間に捻挫群で有意な正の相関関係があった. 重心不安定期の立位条件ではCOP軌跡速度(X方向)が捻挫群のほうが有意に高値を示し, 踏み込み条件ではCOP軌跡速度(Y方向)が捻挫群で有意に低値を示した. FAと重心動揺指標との間には, 両群ともにいずれの条件においても有意な相関関係はなかった. 前足部横アーチ高は, 捻挫群のほうで前方への片足踏み込み動作の重心安定期に影響を与えている可能性が示唆された.
ISSN:1346-4159