腫瘍性軟骨細胞における1型コラーゲンの遺伝子発現

【目的】我々は種々の生理的ならびに病理的条件下において, 一部の骨形成細胞は骨を特徴付ける1型コラーゲンの他, 軟骨を特徴付ける2型コラーゲンを共発現している事につき, そのタンパクおよび遺伝子レベルでの検索結果を報告してきた. そこで今回は骨軟骨腫, とくにその腫瘍性軟骨細胞に着目し検討した. 【方法】検討材料は癌研病理にて本症例と診断された骨軟骨腫の10症例である. このパラフィン切片を用いその各々につき病理組織学的, 組織化学的に検索した後, 免疫組織化学的ならびにin situ hybridizationによって検討した. 【結果と考察】病理組織学的に, 腫瘤先端部は軟骨によって被われ...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 45; no. 5; p. 339
Main Authors 川上敏行, 木村晃大, 松浦幸子, 長谷川博雅, 辻極秀次, 長塚仁, 永井教之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 01.09.2003
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】我々は種々の生理的ならびに病理的条件下において, 一部の骨形成細胞は骨を特徴付ける1型コラーゲンの他, 軟骨を特徴付ける2型コラーゲンを共発現している事につき, そのタンパクおよび遺伝子レベルでの検索結果を報告してきた. そこで今回は骨軟骨腫, とくにその腫瘍性軟骨細胞に着目し検討した. 【方法】検討材料は癌研病理にて本症例と診断された骨軟骨腫の10症例である. このパラフィン切片を用いその各々につき病理組織学的, 組織化学的に検索した後, 免疫組織化学的ならびにin situ hybridizationによって検討した. 【結果と考察】病理組織学的に, 腫瘤先端部は軟骨によって被われ内部は海綿骨からなっていた. しかし一部では肥大軟骨細胞相当部の基質および梁状の海綿骨部において染色性の不規則な部もあった. これらの部では免疫組織化学的に骨組織を特徴付ける1型コラーゲンおよびオステオカルシンが, さらに軟骨組織を特徴づける2型コラーゲンが共在する部もあった. また一部の軟骨細胞には明らかに1型コラーゲンのmRNA発現が同定された. 以上の所見から, 今回検討した骨軟骨腫のような良性の骨腫瘍性病変においても, 骨と軟骨の両者の特徴を併せ持つ類軟骨(形成)細胞とその基質である類軟骨基質と呼ぶに相応しい組織の出現していることが明らかになった. 【共同研究者】癌研病理/神田浩明
ISSN:0385-0137