高解像度マノメトリーを用いた嚥下調整食 (日本摂食嚥下リハビリテーション学会分類2013) に対する健常成人の嚥下動態の定量的評価
「要旨」 【緒言】日本では, 高齢化に伴って, 嚥下困難者用食品の需要は増加している. 嚥下調整食の量や形態の違いが, 嚥下動態にどのような影響があるのかを明らかにすることは, 摂食嚥下障害患者の嚥下調整食の選択, リハビリテーションにおいて重要である. 本研究は, 健常成人を対象に, 嚥下調整食の量や形態の違いが嚥下動態に与える影響を, 高解像度マノメトリー(HRM)を用いて定量的に解析することを目的に行った. 【方法】被験者は健常成人男性10人(平均年齢36.0±10.3歳)であった. 摂食嚥下リハビリテーション学会で提示されている5段階の嚥下調整食(学会分類2013)コード0~4に相当す...
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| Published in | 日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 79 - 88 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本摂食嚥下リハビリテーション学会
31.08.2019
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| ISSN | 1343-8441 |
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| Summary: | 「要旨」 【緒言】日本では, 高齢化に伴って, 嚥下困難者用食品の需要は増加している. 嚥下調整食の量や形態の違いが, 嚥下動態にどのような影響があるのかを明らかにすることは, 摂食嚥下障害患者の嚥下調整食の選択, リハビリテーションにおいて重要である. 本研究は, 健常成人を対象に, 嚥下調整食の量や形態の違いが嚥下動態に与える影響を, 高解像度マノメトリー(HRM)を用いて定量的に解析することを目的に行った. 【方法】被験者は健常成人男性10人(平均年齢36.0±10.3歳)であった. 摂食嚥下リハビリテーション学会で提示されている5段階の嚥下調整食(学会分類2013)コード0~4に相当する米飯の既製品を用いた. HRMのカテーテルセンサーを外鼻孔より挿入, 上部食道括約筋(UES)に留置して測定を行った. コードごとに3g, 6g, 9gをランダムに摂取させ, 被験者の自由意志に従って1回で嚥下させた. 数値は各被験者の2回分の平均値のデータを用いた. 各コードにおけるUES弛緩時間, 上咽頭部や舌根部, 下咽頭部における圧持続時間や最大内圧を測定項目とした. コードごとの量の変化の比較と, 各コード間の比較を統計解析した. 【結果】UES弛緩時間は, すべてのコードで量が増加すると延長した. 上咽頭部の圧持続時間は, コード2の6gと9g, コード3の3gと6g, コード4の3gと9gで量の増加により延長した. 舌根部圧持続時間は, コード4の3gと9gで量の増加により延長した. 舌根部最大内圧は, コード2の3gと9g, 6gと9gで量の増加により低下した. すべての測定項目において, 各コード間の比較で有意差を認めなかった. 【結論】健常成人において, 嚥下調整食の量の増加はUES弛緩時間を延長させ, 一部の嚥下調整食の量の増加は, 上咽頭部と舌根部の圧持続時間, 舌根部の最大内圧を変化させることが示唆された. |
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| ISSN: | 1343-8441 |