青少年スポーツ選手における新鮮安定型舟状骨骨折および骨挫傷に対する治療

〔要旨〕単純X線及びMRIにより新鮮舟状骨骨折と診断した2例および骨挫傷と診断した16例, 合計18例(11~18歳;平均年齢13.9歳)の治療成績について調査した. 受傷原因はサッカーや野球などでの転倒が多く, 舟状骨骨折あるいは骨挫傷をきたした部位は遠位部と中央部がそれぞれ50%ずつであった. 全例にギプス固定(平均6.8週)による保存的治療を行った結果, 17例は骨癒合が得られスポーツ復帰を果たすことができた. しかし, 1例は骨折部の転位が増大し遷延治癒と判断したので手術治療を行った後にスポーツ復帰した. 青少年の舟状骨骨折部位は, 従来, 遠位での骨折が多いと考えられていたが, 本研...

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Published in日本臨床スポーツ医学会誌 Vol. 24; no. 2; pp. 283 - 288
Main Authors 小嶋豊英, 藤岡宏幸, 小山智士, 田中寿一, 吉矢晋一, 西川哲夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床スポーツ医学会 30.04.2016
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ISSN1346-4159

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Summary:〔要旨〕単純X線及びMRIにより新鮮舟状骨骨折と診断した2例および骨挫傷と診断した16例, 合計18例(11~18歳;平均年齢13.9歳)の治療成績について調査した. 受傷原因はサッカーや野球などでの転倒が多く, 舟状骨骨折あるいは骨挫傷をきたした部位は遠位部と中央部がそれぞれ50%ずつであった. 全例にギプス固定(平均6.8週)による保存的治療を行った結果, 17例は骨癒合が得られスポーツ復帰を果たすことができた. しかし, 1例は骨折部の転位が増大し遷延治癒と判断したので手術治療を行った後にスポーツ復帰した. 青少年の舟状骨骨折部位は, 従来, 遠位での骨折が多いと考えられていたが, 本研究では中央部での骨折が半数を占めていた. 新鮮安定型舟状骨骨折および骨挫傷においてギプス固定による保存治療を行うことで, 良好な治療成績が得られていた. しかし, 経過中に骨折部の転位が増大して手術治療に切り替える必要がある症例もあることから, 慎重な経過観察と選手への指導が重要である.
ISSN:1346-4159