横行結腸が嵌頓した高齢者腹壁正中ヘルニアの1例
極めてまれな腹壁正中ヘルニア嵌頓例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は80歳女性で. 1~2年程前から臍上部の腫瘤を自覚したが放置していた. 最近になり間欠的腹痛を伴い来院した. 上腹部に手拳大の腫瘤を触知し, 腹部CT検査で正中の筋膜欠損部より横行結腸が脱出, 嵌頓していた. 腹壁正中ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した. ヘルニア門まで剥離後, 嚢を開放したところ, 内容は横行結腸および大網であった.壊死所見は認められなかったため, 腹腔内に還納可能で他に筋膜欠損部がないことを確認後, 前鞘と後鞘を2層に縫合し, ヘルニア門を閉鎖した. 術後は経過良好で現在まで再発は認...
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Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 23; no. 3; pp. 505 - 508 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
31.03.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem1993.23.505 |
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Summary: | 極めてまれな腹壁正中ヘルニア嵌頓例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は80歳女性で. 1~2年程前から臍上部の腫瘤を自覚したが放置していた. 最近になり間欠的腹痛を伴い来院した. 上腹部に手拳大の腫瘤を触知し, 腹部CT検査で正中の筋膜欠損部より横行結腸が脱出, 嵌頓していた. 腹壁正中ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術を施行した. ヘルニア門まで剥離後, 嚢を開放したところ, 内容は横行結腸および大網であった.壊死所見は認められなかったため, 腹腔内に還納可能で他に筋膜欠損部がないことを確認後, 前鞘と後鞘を2層に縫合し, ヘルニア門を閉鎖した. 術後は経過良好で現在まで再発は認められない. 腹壁正中ヘルニアは本邦では比較的まれな疾患であり, 結腸嵌頓例は極めてまれで定型的な術式がない. 詳細が明らかな本邦62例の集計も合わせ文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem1993.23.505 |