なぜ地域と連携した日本語教育実習を行うのか 大学の日本語教師養成課程担当教員の語りから見えるもの

本論文は大学の日本語教師養成課程において地域と連携した日本語教育実習を企図し,実施してきた日本語教育実習担当教員4名の語りのナラティブ分析を通し,地域と連携した日本語教育実習の意義を明らかにすることを目的とした。各インタビューの中で見出された筋を個別のストーリーとして記述し,分析した結果,地域と連携した日本語教育実習の意義は,自らの専門性を生かし,社会に参加することのできる市民としての態度の育成であり,多様な学習者に向き合い,その個別性に寄り添いながら授業を実践する経験からの学びの獲得であると考察した。この結果を踏まえ,登録日本語教員の制度化により,実践研修の場として地域の日本語教室の場が選択...

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Published in言語文化教育研究 Vol. 22; pp. 109 - 129
Main Authors 早矢仕, 智子, 西村, 美保, 澤邉, 裕子, 杉本, 香, 中川, 祐治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 言語文化教育研究学会:ALCE 23.12.2024
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ISSN2188-9600
DOI10.14960/gbkkg.22.109

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Summary:本論文は大学の日本語教師養成課程において地域と連携した日本語教育実習を企図し,実施してきた日本語教育実習担当教員4名の語りのナラティブ分析を通し,地域と連携した日本語教育実習の意義を明らかにすることを目的とした。各インタビューの中で見出された筋を個別のストーリーとして記述し,分析した結果,地域と連携した日本語教育実習の意義は,自らの専門性を生かし,社会に参加することのできる市民としての態度の育成であり,多様な学習者に向き合い,その個別性に寄り添いながら授業を実践する経験からの学びの獲得であると考察した。この結果を踏まえ,登録日本語教員の制度化により,実践研修の場として地域の日本語教室の場が選択されにくくなる可能性がある中,地域日本語教育に関心を持つ関係者との対話の場を作り,ことばの教育と社会の関わりという本質的な命題を多様な関係者らと問い直す機会を創出していく重要性について指摘した。
ISSN:2188-9600
DOI:10.14960/gbkkg.22.109