骨スライス上で培養した骨芽細胞MC3T3-E1細胞の細胞外マトリックス形成機構とその運命

抄録:骨は吸収層と形成相からなる骨リモデリングを繰り返しながら, 成長や新陳代謝を行っている. この形成相における骨基質の影響については良い実験モデルが無く, その形成機構については十分解析されていない. そこで, 我々は形成期の骨形成機構を明らかにする目的で, 骨スライス上で骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞を培養し, 従来には無かった骨芽細胞を剥離する技術を開発して, 骨芽細胞の接着面と骨スライス上に形成される組織の詳細な形態学的観察を行った. この観察により, 骨芽細胞が骨基質を形成する過程を詳細に観察することでき, その過程でいくつかの重要な発見が見られた. まず, 骨芽細胞の接着面...

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Published inJournal of Hard Tissue Biology Vol. 11; no. 3; pp. 102 - 109
Main Authors 山下菊治, 合田大亮, アーマドレザラジー, サルゴルザエ アヴァ フェレイドーン, 里村一人, 北村清一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 硬組織再生生物学会 01.03.2003
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ISSN1341-7649

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Summary:抄録:骨は吸収層と形成相からなる骨リモデリングを繰り返しながら, 成長や新陳代謝を行っている. この形成相における骨基質の影響については良い実験モデルが無く, その形成機構については十分解析されていない. そこで, 我々は形成期の骨形成機構を明らかにする目的で, 骨スライス上で骨芽細胞株であるMC3T3-E1細胞を培養し, 従来には無かった骨芽細胞を剥離する技術を開発して, 骨芽細胞の接着面と骨スライス上に形成される組織の詳細な形態学的観察を行った. この観察により, 骨芽細胞が骨基質を形成する過程を詳細に観察することでき, その過程でいくつかの重要な発見が見られた. まず, 骨芽細胞の接着面に骨基質と接着するための髪状の接着構造を認め, その後骨基質に完全に密着した後, 壊死することが明らかになった. また, 培養1日目から細胞外マトリックスを形成する細胞が現れ, 接着面の表層から滲み出すように顆粒状のコラーゲンを形成し, やがて繊維化し, その繊維は接着面と並行に走るだけでなく, 骨基質と接着しながら既存のコラーゲンと連続して形成されることが明らかになった. しかも, これらの骨芽細胞の活性化にコラーゲンが重要であることが示唆された.
ISSN:1341-7649