脳血管内治療の近未来 機器の開発改良

脳血管内治療は, いうまでもなく新しい機器と技術の開発と改良がその発展の原動力である. 離脱型コイルの開発により本格的に始まった脳動脈瘤に対する血管内治療は, バルーンやステントの開発と導入により大きく発展してきたが, すべて瘤内にいかにコイルを充塡するかが目標であった. Flow diverterはそれとは大きく異なり, 脳動脈瘤へ流入する血流を制御するメカニズムを基に開発された機器である. これによりこれまで治療が難しかった大型, 不規則形状の脳動脈瘤の治療が可能になった, しかし, 分岐部の大型瘤や遠位アクセスが難しい症例のflow diverter治療は困難であり, PulseRide...

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Published in脳神経外科ジャーナル Vol. 26; no. 1; pp. 21 - 28
Main Authors 坂井, 千秋, 川端, 修平, 徳永, 聡, 谷, 正一, 今村, 博敏, 足立, 秀光, 鈴木, 啓太, 足立, 拓優, 吉田, 泰規, 堀内, 一史, 別府, 幹也, 秋山, 亮, 船津, 尭之, 坂井, 信幸, 奥田, 智裕, 松井, 雄一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳神経外科コングレス 2016
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ISSN0917-950X
2187-3100
DOI10.7887/jcns.26.21

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Summary:脳血管内治療は, いうまでもなく新しい機器と技術の開発と改良がその発展の原動力である. 離脱型コイルの開発により本格的に始まった脳動脈瘤に対する血管内治療は, バルーンやステントの開発と導入により大きく発展してきたが, すべて瘤内にいかにコイルを充塡するかが目標であった. Flow diverterはそれとは大きく異なり, 脳動脈瘤へ流入する血流を制御するメカニズムを基に開発された機器である. これによりこれまで治療が難しかった大型, 不規則形状の脳動脈瘤の治療が可能になった, しかし, 分岐部の大型瘤や遠位アクセスが難しい症例のflow diverter治療は困難であり, PulseRider, WEB, MEDINAなどの新しい機器が開発されている. 頚動脈ステント留置術はCEAに代わる治療として本邦では広く活用されているが, 術後の脳卒中を防ぐために細かい網状のストラットを有する次世代ステントmicro-mesh stentが開発された. 本邦ではCASPERの治験が始まっており, その適格基準にCEA normal riskも含まれており, 結果次第ではCASの適応が拡大される可能性があるため大きな関心が寄せられている. その他の治療でも機器の開発と改良は止まることはなく, 適切な適応判断, 技術の習熟, 結果の検証を通じて, 新しい機器の開発と改良が脳血管内治療の発展に貢献するよう努めねばならない.
ISSN:0917-950X
2187-3100
DOI:10.7887/jcns.26.21