摂食・嚥下機能からみた高齢者における嚥下体操の有効性

本研究の目的は高齢者における嚥下体操の効果を唾液分泌量,開口度,反復唾液嚥下テストを指標として明らかにすることである.対象はS老人保健施設に入所中の摂食・嚥下障害のない高齢者15人で,平均年齢は78.2±6.04歳,男性1人女性14人であった.嚥下体操は従来の嚥下体操に唾液腺マッサージを加えた.1日3回食前10分に8週間継続して実施した.分析方法は上述の3つの指標において,嚥下体操を実施する前と8週間実施した後の測定値を比較した.唾液分泌の即時的効果について,嚥下体操を1回実施する前と実施した後の唾液分泌量を比較した・比較はウィルコクソン符号付順位検定を用いて行った(p<0・05).加え...

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Published in日本老年看護学会誌(老年看護学) Vol. 6; no. 1; pp. 67 - 74
Main Authors 穴井 めぐみ, 松岡 緑, 西田 真寿美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本老年看護学会 01.11.2001
一般社団法人 日本老年看護学会
Japan Academy of Gerontological Nursing
Subjects
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ISSN1346-9665
2432-0811
DOI10.20696/jagn.6.1_67

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Summary:本研究の目的は高齢者における嚥下体操の効果を唾液分泌量,開口度,反復唾液嚥下テストを指標として明らかにすることである.対象はS老人保健施設に入所中の摂食・嚥下障害のない高齢者15人で,平均年齢は78.2±6.04歳,男性1人女性14人であった.嚥下体操は従来の嚥下体操に唾液腺マッサージを加えた.1日3回食前10分に8週間継続して実施した.分析方法は上述の3つの指標において,嚥下体操を実施する前と8週間実施した後の測定値を比較した.唾液分泌の即時的効果について,嚥下体操を1回実施する前と実施した後の唾液分泌量を比較した・比較はウィルコクソン符号付順位検定を用いて行った(p<0・05).加えて,主観的評価を得るために嚥下体操を8週間実施した後に面接調査をした.結果は, 3つの指標において,嚥下体操を実施する前より8週間実施した後に有意に増加した.唾液分泌量において,嚥下体操を1回実施する前より1回実施した後に有意に増加し,唾液分泌の即時的効果が認められた.嚥下体操を8週間の実施した後の面接調査で食事への意識化,頸部のリラクセーション効果が抽出された.よって,嚥下体操は食事への意識化は摂食・嚥下のプロセスの認知期へ,唾液分泌量,開口度の増加は準備期・口腔期へ,反復唾液回数の増加は咽頭期へ影響を及ぼし,摂食・嚥下機能に効果を与えると考える.
Bibliography:研究ノート
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.6.1_67