母親の愛着尺度日本版の信頼性・妥当性の検討

要旨 本研究は,母親の愛着尺度日本版(MAI-J)の信頼性と妥当性を検討することを目的とした.MAI-Jは,乳児に対する母親の愛着を情意領域から定義した尺度で,26項目で構成される.日本版の翻訳は逆翻訳を行い,日本版の翻訳が原文の意味を反映しているか確認した.信頼性と妥当性の検討は,255名の健康な乳児の母親の協力を得て行った. 信頼性は,内的整合性を表すCronbach'sαは0.92,安定性はr=0.84(p<0.000)であった.妥当性は,内容妥当性が支持された.構成概念妥当性は十分に支持されなかったが,主成分分析と因子分析から,MAI-Jは1次元に近い構造を示していた.親とな...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本看護科学会誌 Vol. 21; no. 1; pp. 1 - 8
Main Author 中島 登美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 05.04.2001
公益社団法人 日本看護科学学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans1981.21.1_1

Cover

More Information
Summary:要旨 本研究は,母親の愛着尺度日本版(MAI-J)の信頼性と妥当性を検討することを目的とした.MAI-Jは,乳児に対する母親の愛着を情意領域から定義した尺度で,26項目で構成される.日本版の翻訳は逆翻訳を行い,日本版の翻訳が原文の意味を反映しているか確認した.信頼性と妥当性の検討は,255名の健康な乳児の母親の協力を得て行った. 信頼性は,内的整合性を表すCronbach'sαは0.92,安定性はr=0.84(p<0.000)であった.妥当性は,内容妥当性が支持された.構成概念妥当性は十分に支持されなかったが,主成分分析と因子分析から,MAI-Jは1次元に近い構造を示していた.親となるとはどのようなものか日本版(WPL-R-J)の下位尺度,育児の評価との相関はr=0.63(p<0.000)であり,かなり関連があった.併存妥当性として用いた対児感情評定尺度との相関はr=0.38 (p<0.05)であり,支持される程の関連はなかった. これらから,MAI-Jの信頼性は支持されたが,妥当性は十分に支持されているとはいえず,今後,さらに検討が必要である.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans1981.21.1_1