行いたい作業を聞き取れる状態にない高齢者に対して,重視する経験とその人らしい関わり方に着目して関係作りを行った一例

要旨:本報告の目的は,現状に絶望しベッドの中に塞ぎ込み,行いたい作業を聞き取れる状態にない高齢者が,自ら人との関係を大切にして過ごすまでに至った介入経過を振り返り,彼女に変化をもたらした要因を検討して報告することである.介入では,作業歴の面接で彼女が「人との関係」を重視することを捉え,過去と類似する経験ができるように相手の選択と共作業や日常生活場面の相互作用を促す環境設定を行い,彼女が重視する関係を段階的に作る支援をした.その結果,彼女の関係は重要他者との2者関係から,他の入院患者達との関係へと広がった.行いたい作業を聞き取れない場合でも,対象者にとって大切な経験を探り,作業に焦点を当てた支援...

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Published in作業療法 Vol. 40; no. 4; pp. 527 - 534
Main Authors 三原 孝太, 丹野 拓史, 坂上 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作業療法士協会 15.08.2021
一般社団法人 日本作業療法士協会
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ISSN0289-4920
2434-4419
DOI10.32178/jotr.40.4_527

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Summary:要旨:本報告の目的は,現状に絶望しベッドの中に塞ぎ込み,行いたい作業を聞き取れる状態にない高齢者が,自ら人との関係を大切にして過ごすまでに至った介入経過を振り返り,彼女に変化をもたらした要因を検討して報告することである.介入では,作業歴の面接で彼女が「人との関係」を重視することを捉え,過去と類似する経験ができるように相手の選択と共作業や日常生活場面の相互作用を促す環境設定を行い,彼女が重視する関係を段階的に作る支援をした.その結果,彼女の関係は重要他者との2者関係から,他の入院患者達との関係へと広がった.行いたい作業を聞き取れない場合でも,対象者にとって大切な経験を探り,作業に焦点を当てた支援が重要である.
Bibliography:実践報告
ISSN:0289-4920
2434-4419
DOI:10.32178/jotr.40.4_527