意思疎通の図りにくいうつ病患者との接近を続ける精神科看護師の認知,思考,行動のプロセス

要旨 目的:意思疎通の図りにくいうつ病患者に接近を続ける精神科看護師の認知,思考,行動のプロセスを明らかにする. 方法:精神科経験3年以上の看護師17名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した. 結果:看護師は,患者の醸し出す【バリアとの対峙】に至ったとしても,【バリアの内側に届く方法を探す】ことをしていた.看護師はうつ病看護への信念を持ち,患者を【ひとりぼっちにさせたくない】という思いを抱いていたため,患者の【語られない本音に思いを巡らす】ことが出来,【閉ざされた心に続けるノック】をし続けていた. 結論:うつ病患者に対して看護師は困難感を抱きやすいが,...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 42; no. 1; pp. 231 - 239
Main Authors 古田 敏之, 上野 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 2022
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.42.231

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Summary:要旨 目的:意思疎通の図りにくいうつ病患者に接近を続ける精神科看護師の認知,思考,行動のプロセスを明らかにする. 方法:精神科経験3年以上の看護師17名に半構造化面接を行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した. 結果:看護師は,患者の醸し出す【バリアとの対峙】に至ったとしても,【バリアの内側に届く方法を探す】ことをしていた.看護師はうつ病看護への信念を持ち,患者を【ひとりぼっちにさせたくない】という思いを抱いていたため,患者の【語られない本音に思いを巡らす】ことが出来,【閉ざされた心に続けるノック】をし続けていた. 結論:うつ病患者に対して看護師は困難感を抱きやすいが,看護師は患者の孤独な心情を捉え,自分の声がきっと患者に届くと信じることで自身の感情をコントロールし,患者に接近をし続けることが出来ていた.
Bibliography:原著
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.42.231