自閉症児の行動異常を容易に評価できる尺度の開発―行動異常の程度と母親の健康度および疲労度との関連性

要旨 自閉症児をもつ母親が,家庭で療育の効果を知ることができれば,克服感や達成感につながり,療育活動を持続する力となり得る.本研究では,児の行動を観察することにより,症状の程度を簡便に評価できる自閉症児評価尺度の開発を目指した.評価尺度は6因子(社会行動,情動行動,認知行動,常同行動,感覚異常による行動,特異な行動)で構成し,確証的因子分析の結果,適合度指標(RMSEA=0.066)から十分な妥当性を確保していた.信頼性分析の結果,尺度全体のクロンバックのα係数は0.930と高い内的整合性を確保していた.自閉症児の行動異常の程度と母親の心の健康度および疲労度との関連を正準相関分析で解析したとこ...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 28; no. 3; pp. 34 - 42
Main Authors 別宮 直子, 吉村 裕之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 25.09.2008
公益社団法人 日本看護科学学会
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ISSN0287-5330
2185-8888
DOI10.5630/jans.28.3_34

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Summary:要旨 自閉症児をもつ母親が,家庭で療育の効果を知ることができれば,克服感や達成感につながり,療育活動を持続する力となり得る.本研究では,児の行動を観察することにより,症状の程度を簡便に評価できる自閉症児評価尺度の開発を目指した.評価尺度は6因子(社会行動,情動行動,認知行動,常同行動,感覚異常による行動,特異な行動)で構成し,確証的因子分析の結果,適合度指標(RMSEA=0.066)から十分な妥当性を確保していた.信頼性分析の結果,尺度全体のクロンバックのα係数は0.930と高い内的整合性を確保していた.自閉症児の行動異常の程度と母親の心の健康度および疲労度との関連を正準相関分析で解析したところ,社会行動,情動行動,感覚異常による行動,特異な行動などの程度が重いほど,母親の健康度が悪く,疲労度も大きくなることが判明した.この自閉症児評価尺度は,今後,自閉症児とその母親に対する支援方法を構築する上で役立つものと考える.
Bibliography:研究報告
ISSN:0287-5330
2185-8888
DOI:10.5630/jans.28.3_34