胃切除を受ける早期胃癌患者に対する認知行動療法―セルフエフィカシーと心理的ストレスに対するノート記述と面接による介入効果
要旨 本研究の目的は,告知され手術を受ける胃癌患者のストレス認知に対して,認知行動療法による介入研究を行い,患者のセルフエフィカシーの強化と心理的ストレス軽減を目指すものである.介入内容は,毎週の面接と患者自身によるノート記述(セルフモニタリング)であった.研究に使用した概念モデルはストレス対処理論(Lazarus&Folkman,1984)で,対処の自己効力概念についてはBandura(1977,1986)の社会的学習理論を用いた. 本研究の介入評価には,気分(DAMS:福井,1997),一般性セルフエフィカシー(GSES:坂野ら,1986),心理的ストレス反応(SRS-18:鈴木ら,199...
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| Published in | 日本看護科学会誌 Vol. 22; no. 4; pp. 1 - 10 |
|---|---|
| Main Authors | , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本看護科学学会
24.12.2002
公益社団法人 日本看護科学学会 |
| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0287-5330 2185-8888 |
| DOI | 10.5630/jans1981.22.4_1 |
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| Summary: | 要旨 本研究の目的は,告知され手術を受ける胃癌患者のストレス認知に対して,認知行動療法による介入研究を行い,患者のセルフエフィカシーの強化と心理的ストレス軽減を目指すものである.介入内容は,毎週の面接と患者自身によるノート記述(セルフモニタリング)であった.研究に使用した概念モデルはストレス対処理論(Lazarus&Folkman,1984)で,対処の自己効力概念についてはBandura(1977,1986)の社会的学習理論を用いた. 本研究の介入評価には,気分(DAMS:福井,1997),一般性セルフエフィカシー(GSES:坂野ら,1986),心理的ストレス反応(SRS-18:鈴木ら,1997)の測定尺度を用いた.研究参加者は26名(介入群14名,非介入群12名)であったが,うち対象者は20人(介入群9名,非介入群11名)であった.介入評価時期は,介入開始前(告知後一週間),退院時,退院一ヶ月後の3時期とした.結果は以下のとおりである.1)平均値比較では,退院時の「SRS-18総得点」・「SRS-18抑うつ不安」因子,退院一ヶ月時の「SRS-18抑うつ不安」因子が改善していた(p<0.05).2)経時変化比較では,介入開始前から退院において,介入群の「DAMS肯定的気分」が非介入群に比べて改善(p<0.05)していた.3)群別多重比較では介入群は,退院時の「気分」が非介入群より改善していた.また,その効果は退院一ヶ月も持続していた(p<0.05).4)しかし一般性セルフエフィカシーの強化は退院時も退院後一ヶ月も,どの尺度においても認められなかった. 本介入では,退院・退院一ヶ月時において「気分」やストレス反応の「抑うつ・不安」に対する介入効果は見られた.しかし本介入による一般性セルフエフィカシーへの効果はみられなかった. |
|---|---|
| Bibliography: | 原著 |
| ISSN: | 0287-5330 2185-8888 |
| DOI: | 10.5630/jans1981.22.4_1 |