生命倫理の過去から未来へ:患者中心の医療の実現に向けて

1 .はじめに 1970年代の日本社会に「バイオエシックス」の語が現れ、その議論は50年ほどの時を経て今日に至っている1。しかしながら、そこに、米国で強調された「人間としての患者」の視点からの医療の見直しと「患者の権利」獲得運動の展開があったかについては、実質的な変革はなされていないのではないかというのがここでの問題意識である。それは近年における終末期医療や、コロナ禍での「トリアージ」をめぐる議論によってますます強くなっている2-5。それ故に、ここでは、日本社会における「バイオエシックス」の導入時期からの展開の軌跡を辿り、そこにおける問題点を提示し、「バイオエシックス」の核心と考えられる「患者...

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Published in日本看護倫理学会誌 Vol. 15; no. 1; pp. 99 - 100
Main Author 大林 雅之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護倫理学会 20.03.2023
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ISSN1883-244X
2434-7361

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Summary:1 .はじめに 1970年代の日本社会に「バイオエシックス」の語が現れ、その議論は50年ほどの時を経て今日に至っている1。しかしながら、そこに、米国で強調された「人間としての患者」の視点からの医療の見直しと「患者の権利」獲得運動の展開があったかについては、実質的な変革はなされていないのではないかというのがここでの問題意識である。それは近年における終末期医療や、コロナ禍での「トリアージ」をめぐる議論によってますます強くなっている2-5。それ故に、ここでは、日本社会における「バイオエシックス」の導入時期からの展開の軌跡を辿り、そこにおける問題点を提示し、「バイオエシックス」の核心と考えられる「患者中心の医療」の真の実現へと向けた、未来の「生命倫理学」のあり方を提示したい。
Bibliography:日本看護倫理学会第15回年次大会 教育講演
ISSN:1883-244X
2434-7361