除草剤スルホスルフロンの開発

スルホスルフロン(sulfosulfuron)は武田薬品工業(株)によって創製され, モンサント社との共同開発によって実用化された小麦用新規スルホニル尿素系除草剤である. スルホスルフロンは, 小麦に対して高い安全性を示すと共に広範囲のイネ科雑草及び広葉雑草に対して低薬量で極めて高い除草活性を示し, とりわけ従来の除草剤では防除が困難であり, 小麦栽培における最難防除雑草の一つであるBromus属(ウマノチャヒキ等)に卓効を示す. モンサント社では1990年から米国及び欧州において圃場試験が開始され, その高い除草活性と小麦に対する安全性から実用性が確認され, 1995年から本格的な共同開発に...

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Published inJournal of Pesticide Science Vol. 27; no. 2; pp. 179 - 187
Main Authors カウフマン, ジョン E., 伊藤, 滋之, 太田, 一成, 山脇, 孝博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 2002
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ISSN1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI10.1584/jpestics.27.179

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Summary:スルホスルフロン(sulfosulfuron)は武田薬品工業(株)によって創製され, モンサント社との共同開発によって実用化された小麦用新規スルホニル尿素系除草剤である. スルホスルフロンは, 小麦に対して高い安全性を示すと共に広範囲のイネ科雑草及び広葉雑草に対して低薬量で極めて高い除草活性を示し, とりわけ従来の除草剤では防除が困難であり, 小麦栽培における最難防除雑草の一つであるBromus属(ウマノチャヒキ等)に卓効を示す. モンサント社では1990年から米国及び欧州において圃場試験が開始され, その高い除草活性と小麦に対する安全性から実用性が確認され, 1995年から本格的な共同開発に着手した. 1997年にはチェコ, ポーランドにおいて販売を開始し, 現在Monitor(R), Monza(R), Leader(R), Maverick(R), Sandance(R)等の商品名で米国, カナダ, 欧州各国, インド, オーストラリア等の小麦主要生産国をはじめとする20か国以上で販売されている. 本稿では, スルホスルフロンの研究の経緯, 化学構造と除草活性, 合成, 除草特性, 安全性及び代謝分解性等についてその概要を述べる. 研究の経緯 1984年, 武田薬品工業(株)では微量で広範囲の雑草に卓効を示すことで当時注目され始めていたスルホニル尿素系除草剤をターゲットとして, 新規除草剤の開発を目的とした研究が開始された. 研究の開始にあたり, 我々は医農薬に応用例が少なかった橋頭位に窒素原子を有する縮合複素環に着目し, これら複素環を導入した新規スルホニル尿素系化合物の合成を計画した.
Bibliography:650946
ZZ00015061
ISSN:1348-589X
0385-1559
1349-0923
DOI:10.1584/jpestics.27.179