水産登録保留基準の現状と課題

「はじめに」農薬は農薬取締法に基づき, 農林水産大臣の登録を受けなければ製造・加工及び輸入してはならず, 環境大臣は環境影響の観点から農薬を登録するか否かの基準(農薬登録保留基準)を定めており, その1つに水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準(以下, 「水産基準」という)がある. 水産基準は, 農薬の使用に伴い水産動植物の被害が発生し, かつ, その被害が著しいものとなるおそれがあるときに登録保留となる基準である. 具体的には, 魚類の急性毒性試験, オオミジンコ等の急性遊泳阻害試験及び藻類の生長阻害試験の結果から求めた急性影響濃度の最小値を基に水産基準値を定め, 農薬の成分物質の公共用...

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Published inNihon Nōyaku Gakkai shi (2013) Vol. 42; no. 1; pp. 105 - 111
Main Author 小笠原, 毅輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農薬学会 20.02.2017
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ISSN2187-0365
2187-8692
DOI10.1584/jpestics.W17-12

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Summary:「はじめに」農薬は農薬取締法に基づき, 農林水産大臣の登録を受けなければ製造・加工及び輸入してはならず, 環境大臣は環境影響の観点から農薬を登録するか否かの基準(農薬登録保留基準)を定めており, その1つに水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準(以下, 「水産基準」という)がある. 水産基準は, 農薬の使用に伴い水産動植物の被害が発生し, かつ, その被害が著しいものとなるおそれがあるときに登録保留となる基準である. 具体的には, 魚類の急性毒性試験, オオミジンコ等の急性遊泳阻害試験及び藻類の生長阻害試験の結果から求めた急性影響濃度の最小値を基に水産基準値を定め, 農薬の成分物質の公共用水域における環境中予測濃度(水産PEC)と比較することでリスク評価を行い, 水産PECが水産基準値よりも大きい場合は登録保留となる仕組みである. 本稿では, 農薬取締法による農薬登録制度のうち, 水産基準の設定に係るリスク評価に関し, 科学的知見を集積するための新たな取り組みと今後の改善の方向について, その一端を紹介したい.
Bibliography:910899
ZZ20502360
ISSN:2187-0365
2187-8692
DOI:10.1584/jpestics.W17-12