収量調査における籾の水分測定へのハロゲン水分計の適用
従来,籾の水分測定には,粉砕試料5 gを恒温乾燥器の温度106.5±1℃で5時間乾燥する方法(以下,105℃法と称する)とこの測定値との標準誤差が0.5%以内の測定精度が保証された電気水分計による方法がある.近年測定対象が汎用的で測定精度も高く,低廉なハロゲン水分計が開発されているが,ハロゲン水分計を籾の水分測定に用いた報告は見当たらない.そこでハロゲン水分計を用いた籾の水分を測定する場合の最適な測定条件について,サンプル形態(籾および粉砕籾),サンプルの測定量,測定モード(乾燥モード,測定終了モード)に視点をおいて検討した.その結果,粉砕籾5 gにおける急速乾燥時の測定水分変化率が0.5%...
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Published in | Japanese journal of crop science Vol. 85; no. 2; pp. 173 - 177 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本作物学会
2016
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Subjects | |
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ISSN | 0011-1848 1349-0990 |
DOI | 10.1626/jcs.85.173 |
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Summary: | 従来,籾の水分測定には,粉砕試料5 gを恒温乾燥器の温度106.5±1℃で5時間乾燥する方法(以下,105℃法と称する)とこの測定値との標準誤差が0.5%以内の測定精度が保証された電気水分計による方法がある.近年測定対象が汎用的で測定精度も高く,低廉なハロゲン水分計が開発されているが,ハロゲン水分計を籾の水分測定に用いた報告は見当たらない.そこでハロゲン水分計を用いた籾の水分を測定する場合の最適な測定条件について,サンプル形態(籾および粉砕籾),サンプルの測定量,測定モード(乾燥モード,測定終了モード)に視点をおいて検討した.その結果,粉砕籾5 gにおける急速乾燥時の測定水分変化率が0.5% 30秒-1,測定終了水分変化率は135℃で0.03% 30秒-1とする急速乾燥モードによる測定条件が最良であることが示された.このとき,105℃法の測定値に対する偏差は0.06±0.07%(平均値±標準誤差)と高い測定精度を得ることができ,またこの測定条件における測定所要時間は8分18秒(498±21秒,平均値±標準誤差)で,105℃法の乾燥時間である5時間に比べると大幅な短縮効果がみられた.このことから本法は籾水分の迅速・高精度な測定法であり,収量調査にも広く適用できると期待される. |
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Bibliography: | 902322 ZZ00014890 |
ISSN: | 0011-1848 1349-0990 |
DOI: | 10.1626/jcs.85.173 |