西南暖地の普通期水稲栽培における根系活力と登熟について

西南暖地の普通期水稲栽培において,同地域の主力品種であるヒノヒカリを供試し,4施肥条件を設定し3ヵ年にわたり,生育期間中の出液速度を経時的に測定して,株あたりの根系活力の推移と,根系活力が登熟に与える影響を検討した.株あたりの出液速度は水稲の生育にともなって増加し,出穂期の約7日前に最大となった.その後,出穂期から乳熟期にかけて減少し,出穂期にはすでに根系活力が減衰過程にあることが示唆された.また,株あたりの出液速度は年次と施肥条件に大きく影響され,施肥条件より年次の変動が大きかった.次に,株あたりの出液速度と,各収量構成要素,登熟期の乾物増加量ならびに穂重増加量との相関関係を検討した.登熟期...

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Published inJapanese journal of crop science Vol. 78; no. 4; pp. 465 - 470
Main Authors 松元, 里志, 五位塚, のぞみ, 下田代, 智英, 佐々木, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本作物学会 2009
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ISSN0011-1848
1349-0990
DOI10.1626/jcs.78.465

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Summary:西南暖地の普通期水稲栽培において,同地域の主力品種であるヒノヒカリを供試し,4施肥条件を設定し3ヵ年にわたり,生育期間中の出液速度を経時的に測定して,株あたりの根系活力の推移と,根系活力が登熟に与える影響を検討した.株あたりの出液速度は水稲の生育にともなって増加し,出穂期の約7日前に最大となった.その後,出穂期から乳熟期にかけて減少し,出穂期にはすでに根系活力が減衰過程にあることが示唆された.また,株あたりの出液速度は年次と施肥条件に大きく影響され,施肥条件より年次の変動が大きかった.次に,株あたりの出液速度と,各収量構成要素,登熟期の乾物増加量ならびに穂重増加量との相関関係を検討した.登熟期における株あたりの出液速度と乾物増加量ならびに穂重増加量との間には有意な相関関係は認められなかったが,出穂14日後の株あたりの出液速度は登熟歩合ならびに精籾千粒重との間に有意な正の相関関係を示した.以上より,登熟期の出液速度は根系活力が登熟に及ぼす影響について検討するための有効な指標となりえること,および乳熟期の根系活力の維持が登熟歩合を向上させる可能性が示された.
Bibliography:781115
ZZ00014890
ISSN:0011-1848
1349-0990
DOI:10.1626/jcs.78.465