脱アミド化グルテンの食品機能特性

酸加水分解により得られた脱アミド化率40%以下の酸修飾グルテンは, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動,アミノ酸組成,ゲル濾過クロマトグラフィーから,高分子特性を保持し,物理化学的性質においてもnativeグルテンとよく類似していた. 脱アミド化グルテンの中性付近での溶解性は,著しく増加した.このことは,酸加水分解処理によるペプチド結合の開裂ではなく,主として脱アミドに起因すると考えられた. 脱アミド化の増加に伴い,乳化活性,乳化安定性,起泡性は著しく増加した.そしてこれらの食品機能特性は,脱アミド化と高い相関関係にあった. これらのことから,脱アミド化は,グルテンの折りたたまれた高次構造...

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Published inNippon nōgei kagakukaishi Vol. 55; no. 10; pp. 983 - 989
Main Authors 加藤, 昭夫, 松冨, 直利, 金子, しげる, 小林, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 1981
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ISSN0002-1407
1883-6844
DOI10.1271/nogeikagaku1924.55.983

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Summary:酸加水分解により得られた脱アミド化率40%以下の酸修飾グルテンは, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動,アミノ酸組成,ゲル濾過クロマトグラフィーから,高分子特性を保持し,物理化学的性質においてもnativeグルテンとよく類似していた. 脱アミド化グルテンの中性付近での溶解性は,著しく増加した.このことは,酸加水分解処理によるペプチド結合の開裂ではなく,主として脱アミドに起因すると考えられた. 脱アミド化の増加に伴い,乳化活性,乳化安定性,起泡性は著しく増加した.そしてこれらの食品機能特性は,脱アミド化と高い相関関係にあった. これらのことから,脱アミド化は,グルテンの折りたたまれた高次構造をほぐし,内部にうもれた親水領域の増加を生じて,溶解性を高めるとともに,両親媒性も付与して,油脂との相互作用を高め,乳化を安定化させた.さらに,起泡性も著しく増加させた. このように,脱アミド化による小麦タンパク質の改変は,食品加工への高度利用,すなわち乳化材や起泡材としての使用を可能にすると考えられた.
Bibliography:ZZ00014810
240217
ISSN:0002-1407
1883-6844
DOI:10.1271/nogeikagaku1924.55.983