京都大学北海道研究林標茶区における水生昆虫相と分類群同定キー

京都大学北海道研究林・標茶区内を流れる南多和川の6本の支流において,2013年6月から10月にかけて水生昆虫相を調査した.期間を通して,6目26科54属71分類群の水生昆虫分類群とその他の無脊椎動物5分類群が記録された.水生昆虫の分類群組成は支流ごとに異なり,上流部に位置する支流において観察される分類群数が多かった.出現分類群は季節によって変化し,6月に最も多かった.出現機能群は粒状有機物食者と肉食者が多かった.また,出現分類群の半分以上が粒状有機物食者と破砕食者といった腐植連鎖系の構成要素と考えられる分類群であり,調査地の河川生態系が森林由来の有機物供給に強く依存度することが示唆された.さら...

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Published in森林研究 Vol. 80; pp. 1 - 4
Main Authors 中川, 光, 佐藤, 拓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立大学法人 京都大学フィールド科学教育研究センター 01.01.2018
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ISSN1344-4174
2759-3134
DOI10.60409/forestresearch.80.0_1

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Summary:京都大学北海道研究林・標茶区内を流れる南多和川の6本の支流において,2013年6月から10月にかけて水生昆虫相を調査した.期間を通して,6目26科54属71分類群の水生昆虫分類群とその他の無脊椎動物5分類群が記録された.水生昆虫の分類群組成は支流ごとに異なり,上流部に位置する支流において観察される分類群数が多かった.出現分類群は季節によって変化し,6月に最も多かった.出現機能群は粒状有機物食者と肉食者が多かった.また,出現分類群の半分以上が粒状有機物食者と破砕食者といった腐植連鎖系の構成要素と考えられる分類群であり,調査地の河川生態系が森林由来の有機物供給に強く依存度することが示唆された.さらに,本研究では観察された分類群を対象に,分類群同定キーをまとめた資料を添付した.この分類群同定キーの使用にあたっては,本調査で観察されなかった分類群については,誤同定を招く可能性があること,京都大学北海道研究林・標茶区の河川以外(他地域や止水域)の水生昆虫の同定においては正確性が保証できないことに注意が必要である.
ISSN:1344-4174
2759-3134
DOI:10.60409/forestresearch.80.0_1