2本の短絡血管を認めた犬の肝外門脈体循環短絡症の1治験例

4カ月齢, 体重1.40kgのヨークシャーテリアが, 発育不良, 食後のふらつきや流涎を主訴として来院した.血液生化学検査で食後に高胆汁酸, 高アンモニア血症が認められたため肝外門脈体循環短絡症と仮診断した.腸間膜静脈経由門脈造影を実施したところ, いずれも後大静脈に短絡する2本の短絡血管が認められた.門脈圧は, 短絡血管の結紮前が3mmHg, 両短絡血管仮結紮後9mmHgと軽微な上昇が認められたのみで, 門脈血管枝の拡張も十分に確認されたことから完全結染を実施した.症例は, 術後何ら合併症を呈さず回復し, 150日経過した現在, 無投薬, 通常食にて良好に経過している.本症例は, 2本の短絡...

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Published inNippon Juishikai zasshi Vol. 56; no. 8; pp. 531 - 534
Main Authors 片本, 宏, 山下, 美佳, 柴崎, 哲, 木下, 麻子, 進, 学之, 野村, 紘一, 山手, 丈至, 桑村, 充
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本獣医師会 20.08.2003
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ISSN0446-6454
2186-0211
DOI10.12935/jvma1951.56.531

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Summary:4カ月齢, 体重1.40kgのヨークシャーテリアが, 発育不良, 食後のふらつきや流涎を主訴として来院した.血液生化学検査で食後に高胆汁酸, 高アンモニア血症が認められたため肝外門脈体循環短絡症と仮診断した.腸間膜静脈経由門脈造影を実施したところ, いずれも後大静脈に短絡する2本の短絡血管が認められた.門脈圧は, 短絡血管の結紮前が3mmHg, 両短絡血管仮結紮後9mmHgと軽微な上昇が認められたのみで, 門脈血管枝の拡張も十分に確認されたことから完全結染を実施した.症例は, 術後何ら合併症を呈さず回復し, 150日経過した現在, 無投薬, 通常食にて良好に経過している.本症例は, 2本の短絡血管が認められた珍しい先天性の肝外門脈体循環短症であると考えられた.
Bibliography:681040
ZZ00014801
ISSN:0446-6454
2186-0211
DOI:10.12935/jvma1951.56.531