東京電力福島第一原子力発電所放射能漏れ事故に起因する農研機構つくば農場産原乳および飼料に含まれる人工放射性核種汚染のモニタリング

2011 年3 月11 日の東日本大震災とそれに続く津波による冷却機能の喪失により,東京電力福島第一原子力発電所 (FDNPP)が損傷し,放射能漏れ事故が発生した.農研機構は震災翌日の3 月12 日に付属農場の原乳を採取し,放射能漏れ事故直前の原乳中γ線核種濃度を得た.牛乳放射能の緊急時調査は3 月15 日18 時に採取した原乳から開始した.原乳中の131I 濃度は155.2 Bq/L,3 月23 日には最高値の244.8 Bq/L に達した後,徐々に低下し,2011 年5 月26 日には下限検出値まで低下した.一方,放射性セシウムの汚染レベルは,131I よりも遅れて上昇した.すなわち,3...

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Published inNōken Kikō kenkyū hōkoku Vol. 2021; no. 8; pp. 137 - 147
Main Authors 宮本, 進, 甘利, 雅拡, 相川, 勝弘, 大谷, 文博, 西村, 宏一, 武田, 久美子, 木方, 展治, 鈴木, 一好, 三森, 眞琴, 秋山, 典昭, 井倉, 将人, 小松, 正憲, 小林, 美穂, 小迫, 孝実, 高橋, ひとみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 31.10.2021
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ISSN2434-9895
2434-9909
DOI10.34503/naroj.2021.8_137

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Summary:2011 年3 月11 日の東日本大震災とそれに続く津波による冷却機能の喪失により,東京電力福島第一原子力発電所 (FDNPP)が損傷し,放射能漏れ事故が発生した.農研機構は震災翌日の3 月12 日に付属農場の原乳を採取し,放射能漏れ事故直前の原乳中γ線核種濃度を得た.牛乳放射能の緊急時調査は3 月15 日18 時に採取した原乳から開始した.原乳中の131I 濃度は155.2 Bq/L,3 月23 日には最高値の244.8 Bq/L に達した後,徐々に低下し,2011 年5 月26 日には下限検出値まで低下した.一方,放射性セシウムの汚染レベルは,131I よりも遅れて上昇した.すなわち,3 月15 日に1.87 Bq/L の134Cs および2.24 Bq/L の137Cs を検出したが,3 月20 日まで濃度は顕著に上昇しなかった.3 月21 日には134Cs と Cs の合計値として10 Bq/L を超えるレベルで検出され,その後,3 ヶ月間に渡って,134Cs+137Cs の濃度は10 Bq/L 以上 を維持した.一方,乳中の90Sr 濃度はFDNPP の事故後も増加せず,事故前から10 ~30 mBq/L を維持していた.2011 年から開始した混合飼料(TMR)中の放射性セシウム濃度調査では,134Cs および137Cs 濃度の最高値は,2012 年11 月の7.78 Bq/kg(乾物)および13.44 Bq/kg(乾物)で,2011 年よりも2012 年の測定値が高かった.放射性セシウム濃度(134Cs+137Cs) は,原乳では0.2 Bq/L,TMR では2 Bq/kg(乾物)程度まで低下した後,横ばいで推移している.
Bibliography:ZZ20574380
940762
ISSN:2434-9895
2434-9909
DOI:10.34503/naroj.2021.8_137