港湾構造物と付着生物との関わり

運輸省港湾局は、1994年10月に新たな港湾環境政策として、「環境と共生する港湾-エコポート-」を発表している。ここで強調されているのは、「今後の港湾整備に当たっては生態系のメカニズムを十分考慮し、生物を含む自然、環境と共生する方策をとることが必要」という観点である。エコポートの考えを具現していくためには、それを支える技術を開発していく必要がある。技術全体における環境配慮の方策については「港湾における海域環境を考える8つの視点」で明らかにしている。港湾技術研究所海洋環境部では、港湾構造物と生物とが共生する手法について研究を進めているが、本報告ではその一手法として、港湾構造物とそれに付着する生物...

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Published in日本水産工学会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 45 - 55
Main Authors 綿貫, 啓, 夏戸, 園子, 村上, 和男, 中瀬, 浩太, 小笹, 博昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水産工学会 1997
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ISSN0916-7617
2189-7131
DOI10.18903/fisheng.34.1_45

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Summary:運輸省港湾局は、1994年10月に新たな港湾環境政策として、「環境と共生する港湾-エコポート-」を発表している。ここで強調されているのは、「今後の港湾整備に当たっては生態系のメカニズムを十分考慮し、生物を含む自然、環境と共生する方策をとることが必要」という観点である。エコポートの考えを具現していくためには、それを支える技術を開発していく必要がある。技術全体における環境配慮の方策については「港湾における海域環境を考える8つの視点」で明らかにしている。港湾技術研究所海洋環境部では、港湾構造物と生物とが共生する手法について研究を進めているが、本報告ではその一手法として、港湾構造物とそれに付着する生物(海藻、固着動物、移動動物)との関係を検討した結果を示している。港湾構造物の設置によって、その周辺海域において生物が増え、多くの種類の魚類等が蝟集すれば、その海域が生物にとって望ましい環境条件になっており、望ましい形態系が構築されていることを意味すると考えたことが、この手法のバックボーンになっている。なお、検討の視点としては、(1)設置した構造物上で、付着生物がどのように遷移していくのか、(2)構造物の基質、型式によって付着生物の種類、出現量はどのように異なるのか、(3)構造物前面波高、日射等、物理的環境条件の差異によって、付着生物はどのような影響を受けるのかの三点である。
Bibliography:660746
ZZ00011795
ISSN:0916-7617
2189-7131
DOI:10.18903/fisheng.34.1_45